コンテンツマーケティング業界は一致団結してステマ業者を駆逐するべきである
コンテンツマーケティング業界は一致団結してステマ業者を駆逐するべきである
2015年11月2日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
■ステマとは?
ステルスマーケティング、すなわちステマの横行はなかなか無くならない。ステマとは、広告主の意向によって制作された記事=広告であるのに関わらず、クレジット(広告主名もしくはそれが広告であるという表示)をせずに、他の編集記事と同じように閲覧させていることを指す。
PR会社から得た情報を記事にした場合、多くの場合はメディア側が書いた記事は広報会社からもたされた情報に基づくので、当然、広報会社に委託した企業の思惑に近しい内容になる。PR会社からメディアに対して金銭が渡されることがないとしても、PR会社とメディアの関係次第では、メディアのスタンスもそれなりにグレーな印象になる。
そして、このステマの立場とSEOはよく似ている。SEOとは、検索エンジンの検索結果で、自社のWebページが上位に現れるように操作することだ。検索エンジン側のガイダンスに基づいて正しくHTMLを書くことで自然と検索結果が良くなるようにする施策(内部SEO)と、外部リンクを増やすことで検索性を良くしようとする施策(外部SEO)がある。
このうち後者は、広告を出すことで自社のWebページが検索結果上位あるいは目立つところに見えるようにする、いわゆるリスティング広告であれば問題がないが(検索エンジン側が広告であると明記してくれる)、無料のサイトを大量に立ち上げて、そこからリンクをつけることで強制的に被リンク率を上げるようなことは、検索エンジンからすればスパムである。
つまり、外部SEOは、リスティング広告以外は、どうしてもスパム性、違法性を否定できないということだ。検索エンジン、特にGoogleの成長の歴史は、このスパム業者、不適切なSEOとの戦いの歴史と言っていい。
そして、ステマはこの外部SEOに似ている。ステマは、いまインターネットマーケティング市場で台頭してきている大きなトレンドである、コンテンツマーケティングにおける、巨大なスパムなのである。
■コンテンツマーケティングとは
インタネットマーケティングにおいては、長らく検索エンジンをトラフィックエンジンとして考え、ユーザーが検索を行った結果発生したトラフィックを、いかに自分のサイトに導くか、という考え方が最重要であった。つまり、リスティング広告を含むSEO/SEM(検索エンジン最適化施策と検索エンジンマーケティング)のことだ。
ところが、インターネットでコンテンツを消費する場として、PCからモバイルに移り、同時に多くのネットユーザーがFacebookやTwitter、Instagramなどのソーシャルネットワークサービスを多用し、検索自体を滅多に行わなくなると、インターネットマーケティングは、SEO/SEMからSMO(ソーシャルメディア&モバイル最適化)へと質的変換を加速させてきた。トラフィックエンジンはもはや検索エンジンではなく、SNSなのだ。
SMOに必要なのは、ネットユーザーにSNS上でシェアしてもらえるような有用なコンテンツを作成することである。これがコンテンツマーケティングという概念を生んだ。
コンテンツマーケティングとは、自らの媒体(≒オウンドメディア)を中心に情報発信して顧客との良い関係をつくり、収益につながる行動を起こしてもらうことである。言い換えるとSNSをトラフィックエンジンと考えて、シェアしてもらいやすいコンテンツを作り、それをオウンドメディアに貯めるということでもある。
ステマが大きな問題になるのは、自社のメディア、すなわちオウンドメディアではなく、既存のメディアに、自社に都合のいいコンテンツを記載させようとするからだ。オウンドメディアを自社で作り、そこに作成したコンテンツを蓄積し、そして積極的にソーシャルメディアに告知して、ユーザーにシェアをしてもらうよう働きかけること。
これが正しいコンテンツマーケティングであり、このあり方を広告主もマーケティング業者も遵守していくべきだと考える。
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)
■ステマとは?
ステルスマーケティング、すなわちステマの横行はなかなか無くならない。ステマとは、広告主の意向によって制作された記事=広告であるのに関わらず、クレジット(広告主名もしくはそれが広告であるという表示)をせずに、他の編集記事と同じように閲覧させていることを指す。
PR会社から得た情報を記事にした場合、多くの場合はメディア側が書いた記事は広報会社からもたされた情報に基づくので、当然、広報会社に委託した企業の思惑に近しい内容になる。PR会社からメディアに対して金銭が渡されることがないとしても、PR会社とメディアの関係次第では、メディアのスタンスもそれなりにグレーな印象になる。
そして、このステマの立場とSEOはよく似ている。SEOとは、検索エンジンの検索結果で、自社のWebページが上位に現れるように操作することだ。検索エンジン側のガイダンスに基づいて正しくHTMLを書くことで自然と検索結果が良くなるようにする施策(内部SEO)と、外部リンクを増やすことで検索性を良くしようとする施策(外部SEO)がある。
このうち後者は、広告を出すことで自社のWebページが検索結果上位あるいは目立つところに見えるようにする、いわゆるリスティング広告であれば問題がないが(検索エンジン側が広告であると明記してくれる)、無料のサイトを大量に立ち上げて、そこからリンクをつけることで強制的に被リンク率を上げるようなことは、検索エンジンからすればスパムである。
つまり、外部SEOは、リスティング広告以外は、どうしてもスパム性、違法性を否定できないということだ。検索エンジン、特にGoogleの成長の歴史は、このスパム業者、不適切なSEOとの戦いの歴史と言っていい。
そして、ステマはこの外部SEOに似ている。ステマは、いまインターネットマーケティング市場で台頭してきている大きなトレンドである、コンテンツマーケティングにおける、巨大なスパムなのである。
■コンテンツマーケティングとは
インタネットマーケティングにおいては、長らく検索エンジンをトラフィックエンジンとして考え、ユーザーが検索を行った結果発生したトラフィックを、いかに自分のサイトに導くか、という考え方が最重要であった。つまり、リスティング広告を含むSEO/SEM(検索エンジン最適化施策と検索エンジンマーケティング)のことだ。
ところが、インターネットでコンテンツを消費する場として、PCからモバイルに移り、同時に多くのネットユーザーがFacebookやTwitter、Instagramなどのソーシャルネットワークサービスを多用し、検索自体を滅多に行わなくなると、インターネットマーケティングは、SEO/SEMからSMO(ソーシャルメディア&モバイル最適化)へと質的変換を加速させてきた。トラフィックエンジンはもはや検索エンジンではなく、SNSなのだ。
SMOに必要なのは、ネットユーザーにSNS上でシェアしてもらえるような有用なコンテンツを作成することである。これがコンテンツマーケティングという概念を生んだ。
コンテンツマーケティングとは、自らの媒体(≒オウンドメディア)を中心に情報発信して顧客との良い関係をつくり、収益につながる行動を起こしてもらうことである。言い換えるとSNSをトラフィックエンジンと考えて、シェアしてもらいやすいコンテンツを作り、それをオウンドメディアに貯めるということでもある。
ステマが大きな問題になるのは、自社のメディア、すなわちオウンドメディアではなく、既存のメディアに、自社に都合のいいコンテンツを記載させようとするからだ。オウンドメディアを自社で作り、そこに作成したコンテンツを蓄積し、そして積極的にソーシャルメディアに告知して、ユーザーにシェアをしてもらうよう働きかけること。
これが正しいコンテンツマーケティングであり、このあり方を広告主もマーケティング業者も遵守していくべきだと考える。
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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