「ストリームの影響を受け始めたソーシャルメディアマーケティング──前編」
「ストリームの影響を受け始めた
ソーシャルメディアマーケティング──前編」
2009年5月25日
TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)
ソーシャルメディアマーケティングとは
ソーシャルメディアマーケティング(SMM)とは、ソーシャルメディアを活用してマーケティングを行うことだ。ソーシャルメディアに情報を提供することで、自分のサイトに人を誘導したり、ソーシャルメディアの参加者にとって有益な情報を提供して“クチコミ”を誘発し、自分のサイトに誘導する手法を指している。
もともとはBlogやSNSなどのクチコミを活用し、マーケティングやブランディングに役立てるための手法として注目を集めたソーシャルメディアマーケティングである。
しかし、Twitterの台頭や、Facebook、AOL、FriendFeedなどが、Twitter的なリアルタイム情報の伝搬技術を採用(ソーシャルメディアのストリーム化)したことによって、状況は大きく変化しつつある。
FriendFeed
http://friendfeed.com/
リアルタイムとストリーム
Twitterなどの新しいソーシャルメディアを、筆者は「リアルタイム型ソーシャルメディア」、あるいは「ストリーム型ソーシャルメディア」と呼ぶ。
わずか140文字のマイクロメッセージのやりとりをするだけのサービスであるTwitterは、いまや世界中で爆発的な人気を博している。簡単であるからこそ、リアルタイムにいま何が起きていて、いま何をしているのかなどの情報をWeb上にアップできるのだが、TwitterがいまやWebを“サイト”という静的な固まり、あるいは場所的、リスト的な概念から、“ストリーム”という動的な流れ、時間的な概念であることを明確に示したことこそが重要だ。
ブログにも、そもそもこの感覚はある。エントリーを時系列順に表示しているのはそのためだ。しかし、普及が進むにつれてブログには余計な機能が付加され、ツールとして重くなり、流れを作ることよりも場を作ることへと変わってしまった。
Twitterは、そこに着目して、ブログのエントリーよりもさらに小さく細かい情報単位での投稿=140文字制限という不自由さをユーザーに強いることで、より多くの情報のWebへの流入を担保した。時系列順に情報を表示するためだけの機能=ストリームにフォーカスすることで、かえって多くのユーザーに受け入れられたのである。
後編につづく(2009年6月1日公開予定)
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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。