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2008/1/29 TUE 00:00

UPDATE

Expression Blendを使ってみる【その1】

最初にBlendのインターフェイスや操作性から探ってみたい。ここでは、Expression Studioに同梱されている「Expression Design」も含め、廣氏にその印象を語ってもらった。

今回の企画があって初めてExpression Blendを体験したのですが、まず、いい意味で従来のマイクロソフトの製品らしくない雰囲気ですね。3DCGソフトのような感覚で操作できる精悍なグラフィックインターフェイスという印象です。

Expression Designの実力とデータの互換性は必見!

「Expression Design」は過去にMacで使ったことのあるソフトウエアでしたので、そのツールがWindowsに移植されたというのは非常にうれしいですね。ベクトルデータを筆書き風に表現できたり、エフェクトも充実していて使いやすい。Adobe IllustratorやAdobe Fireworksの代わりとしても十分なツールだと思います。また、Expression Designからダイレクトに「XAML=ザムル(以下XAML)」に書き出すことができるので、Blendでオーサリングするならば使いこなしておきたいアイテムのひとつといえるでしょう。

Expression Designは、思った以上に使いやすいツールです

Expression Design はEffectやストーロークの種類も充実していて、ベクターなのにビットマップのようなグラフィックスを制作することが可能。もちろんBlendにXAMLとして書き出して使用できる。
上記の水彩風ストロークは何層かにわかれたグラデーションのパスとしてBlendに持ち込めた

プログラマーとデザイナーのコラボレートが実現

デザイナーとプログラマーの共同作業でいえば、現在、Flashを用いても行われています。しかしながら、どちらかというとデザイナーが“どういう素材を用意しないとプログラマーが使いにくいか”などを理解していないと作業がしにくい面が生じるのが現状です。Blendはこのあたりの住み分けがキッチリしているので、全体的な印象としては余計なストレスをデザイナーにもプログラマーにも与えないワークフローが実現しそうな予感がありますね。

その理由のひとつに、XAMLがあります。細かい修正作業など、どうしても生っぽい作業になってしまうところを、BlendではXAMLのほうで書き換えてもいいし、プロパティ側で書き換えてもいいので、効率的に作業が行える。そのあたりはインターフェイスとしてもすっきりしていますね。VisualBasicを使える人が1人いたらいろいろなことができそうです。また、設定したことがすべてXAMLに書き込まれるので、大まかなデザイン作業をした後、プログラマーがその見地から適正にプログラムを書き換えられるところも効率的で便利だと思います。ときに、1ピクセルを動かすような細かい修正が生じた場合でも、デザイナーが手を加えなくても修正ができてしまうことになりますから、うれしいですね。

XAMLは開発者とのやり取りがスムーズにできますね

Window上にマウスで置いていくと自動的にXAMLが生成される

ここが進化した!Blend2の新機能【イージング】

ここでは現在今年春リリースを目指して製品版が開発されているBlend の新バージョン2.0、「Blend 2」に搭載される新機能を紹介したい。まずはFlashを用いている人にはおなじみの機能である「イージング(Easing)」。イージングとは、アニメーションに加減速を徐々に加えることで、アニメーションをリアルに表現することができる機能だ。Blend 2のイージングは、動きや色といった属性あるものすべてにキーフレーム設定が行えるため、“イージングの途中で色を変える”といった表現も可能。同じことをやるには、MovieClipを入れ子にするか、スクリプトを組む必要があるFlashとの大きな違いがそこだ。

車が急ブレーキを踏んだ動きのアニメーション。車のパーツをGridと呼ばれるグループにして、車自体はEasingの設定で急停止。
前のタイヤは押しつぶされて変形しつつ色も赤くなり、最後の1秒はサスペンションがリバウンドして戻るといった一連のアニメーションを作るのにも便利だ
イージングを使ったサンプルアニメーションを実際に見る