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[Special Interview]キャラクターデザイン・すしお氏に聞くこれからのクリエイターに必要なこと

大好評の末、今年の3月に放送終了となったアニメ「キルラキル」。とにかく熱くて、はちゃめちゃなSFバトル学園ストーリーにハマった人も多いだろう。この作品でキャラクターデザイン・総作画監督を務めたのがすしお氏。ガイナックスでアニメーターとしてデビューした後、今石洋之さん達が設立したTRIGGERに移籍。「キルラキル」のキャラクターデザインを手掛けることになる。そんなすしおさんに、アニメーターとしてのスタンスや絵を描く道具としてのペンタブレットの必要性などについてお話しを伺った。

本気で絵を描く仕事に携わりたいなら観察眼を磨こう!

ガイナックスで動画・原画を経験した後、今石洋之さん達が設立したTRIGGERに移籍。それまでのキャラクター作画などの経験をいかして、さまざまな作品で活躍の場を広げる。昨年末から2クールにわたって放映され、話題となった「キルラキル」ではキャラクターデザイン・総作画監督を務めている。すしおさんにとって、アニメ制作という仕事はどういうものなのだろうか。すしおさんが制作現場で使うツールやアニメーターを目指す上で大切なことについて伺った。

一定レベルの絵の上手さに加え、如何に絵が好きかが重要。よく観察することも大切

上記は、キルラキルでの制作などで煙を描くときに使用したブラシ。指先ツールでぼかして使う。

─── ペンタブレットはどのように使われているのですか?

すしお そうですね。着色作業の時にペンタブレットを使ってます。最初に鉛筆で描いた線画を取り込み、それにデジタルで着色してます。BD(ブルーレイディスク)の製品ジャケット用のイラストや雑誌版権もデジタルで仕上げてますね。

─── 最新のIntuos Proではマルチタッチ操作にも対応しています。

すしお マルチタッチ操作に対応しているのはすごく良いですよね。今までMacで作業しているとき、描画作業はペンタブレット、画面操作はマルチタッチという具合に切り替えていました。それが、Intuos Pro1台で済むのであれば、すごく効率的だと思います。ピンチアウトで画像のズームイン/アウトもできるのはめちゃ便利ですよね。

─── 実際のアニメーション制作で、作画はどのように作られていくのでしょうか。

すしお 最初に原画の下絵を鉛筆で描くわけですが、鉛筆で描いた絵に直しを入れる場合、再度鉛筆で修正してスキャナで取り込んでるんです。スキャンして取り込むって、結構手間なんですよね。微妙に角度が変わっちゃったりして。ですから、線の描き直しであっても、ペンタブレットで修正できれば効率的ですよね。スキャナーで取り込んで画角を調整するといったフローを省けるわけですから。ただ、鉛筆の硬さはいろいろと使い分けるから、ブラシも様々なタイプのものがあると嬉しいですね。

─── 現在、ワコムがMdNと共同開発したオリジナルブラシを再配布していて、そこに3種類ほど鉛筆ブラシがあるのですが。

すしお それは使ってみたいですね。何が何でも鉛筆じゃなければいけないというわけではないんです。代わるものがないだけで。納得いく線が描けるならデジタルでもいいと思ってます。

─── 実際、ブラシツールはどのように利用されるのでしょう?

すしお Photoshopで色付けをする際にブラシを使うほか、キャラクターの足下などに舞う煙など、エフェクトを描く際に利用します。カスタムの葉っぱ型などのブラシを使って煙的なものを描きつつ、指先ツールで丁寧に擦ってボカすことで煙のような効果を描いてます。

─── アニメーターとして基本的に必要なことって何でしょう。

すしお 単に“絵を描くのが好き”だけではダメですけど、逆に単に“絵が巧い”というだけでもダメだと思います。仕事として考えるなら、一定レベルの絵を描くスキルは持っているのは当たり前の話で、さらに、どういう絵が好きかとか…こだわりのようなものが必要だと思いますね。

─── アニメ制作という仕事を目指すならこれだけはやっておけ!ということはありますか。

すしお 観察眼を養うことが大事だと思います。僕もこれを言われた当初は分からなかったんですが、実際に観察してみて初めて分かることって多い。当たり前のように見過ごしてしまっていることを再認識するっていうか…。たとえば、今話しているようなミーティングのシーンであれば、それぞれの人が机の上に好き勝手に資料を置いているじゃないですか。これが自然であって、全員の前に資料が正位置でかっちり置いてあるように描いたら、それは人の目には不自然に映る。さらにいえば、キャラクター設定として左利きなら、どちらかといえば資料は自分の左前に置くんです。観察を通じて知りえた事実をもとに描くのと、そうでない場合では見え方が全然違う。リアリティを意識するのであれば、まずは日々のいろいろな風景を観察するということがとても大事なんです。

■プロフィール
すしお●1976年生まれ。代々木アニメーション学院を卒業後、ガイナックスに入社。劇場版「新世紀エヴァンゲリオン」で動画を初担当する。その後、同社にて作画監督を務めた後、今石洋之らが新たに設立したアニメ制作会社TRIGGERに移籍。TRIGGER初のTVシリーズ作品「キルラキル」のキャラクターデザイン・作画監督を手がける。

クリエイターにとってのペンタブレットの有効性

今、アニメ制作現場においても、ペンタブレットといったデジタルデバイスの普及・活用に広がりをみせている。特にデジタルツールとしてのペンタブレットは、これまでのアナログツールを完全に再現するものへと向かいつつあり、クリエイターにとって親和性の高いツールと言っていいだろう。これからクリエイティブな仕事に携わりたいのであれば、PhotoshopやIllsutratorといったソフトを使いこなす以外にも、作業効率を飛躍的に高めるペンタブレットは必須アイテムと言える。

なかでも「Intuos Pro」は、2048レベルの筆圧機能と柔軟な傾き検出レベルという高機能性により、ストレスを感じさせないデジタル描画を実現している。さらにマルチタッチ・ジェスチャーなどタッチ操作も併用することで、クリエイティブワークをより効率的なものとするのが大きな特徴だ。

すでに一般的な描画ツールとして確立されたペンタブレットを「思い通りに使いこせるようになる」ことや「Photoshopのブラシを工夫して仕事に活用する」など、ハード&ソフトを自在に操ることは、これからの若手クリエイターにも求められてくる。これからクリエイティブな世界で身を置くクリエイターを目指すなら、ペンタブレットの代表格である「Intuos Pro」は押さえておきたいデバイスだろう。

すしお氏が気になったカスタムブラシ

止め絵などをはじめ、アニメーションの原画制作ですしお氏が大切にする味のある生きた線は、硬さの違う鉛筆で描かれてる。これがカスタムブラシを使うことで、デジタルであっても納得のいく線が描けるなら、制作作業の負担を大きく軽減できるだろう。今回、インタビュー時ですしお氏が気になったのは「ざらざらペン」「鉛筆(ハード)」「鉛筆(ソフト)」や「雲」「煙」といったブラシの種類だった。

01 ざらざらペン
太さがランダムに変化するペンのブラシです。主線にざらざらとしたアナログ的質感を持たせたいときに使えます。
02 鉛筆(ハード)
描き味が固めの鉛筆のようなブラシです。細かくシャープなラインの鉛筆画を強めの筆圧で描きたいときに使えます。
03 鉛筆(中)
ノーマルな描き味の鉛筆ブラシです。デッサンやスケッチなどの鉛筆画を描いたり、手描き文字を書くなど幅広く使えます。
04 鉛筆(ソフト)
少しだけ柔らかい描き味が特徴の鉛筆ブラシです。ラフやクロッキーなどの鉛筆画を素早く描くときに適しています。
07 雲 01
リアルな雲のシルエットを描画するブラシです。イラストなどの背景にリアルな雲を追加したいときに便利です。スタンプ的に使うことも可能です。
10 煙 01
煙のシルエットを描画するブラシです。イラストの一部や背景に効果として追加できます。クリックでスタンプ的に使うことが前提です。
ワコム オリジナルカスタムブラシ一覧

「オリジナルカスタムブラシプレゼントキャンペーン」

株式会社ワコムでは、ペンタブレットや液晶ペンタブレットのユーザー向けに「MdN監修 カスタムブラシセット プレゼントキャンペーン」を展開。対象製品を所有しておりワコムクラブ会員となっている人限定のキャンペーンで、Adobe Photoshop用のカスタムブラシを無料で手に入れることができる。カスタムブラシセットには、ざらざらペンや鉛筆(ハード)などの各種ペン先、ぼかしや水彩、毛筆などの筆先など実用的なものから、髪の毛や肌質、トーンなどのテクスチャ感のあるブラシ、さらに水玉やレース、葉、雲、木など、バリエーション豊かなブラシが全80個入っている。専用のマニュアル(PDFデータ)もあり、即戦力ツールとして活用できる。

■期間:2014年6月2日(月)〜2015年5月30日(月)
■対象製品:ワコムが販売するペンタブレット製品、液晶ペンタブレット製品
■問い合わせ :ワコムクラブ
URL:https://tablet.wacom.co.jp/article/custom-brush-campaign