デザイン・クリエイティブ目線で語る
ソーシャルアプリ制作の裏側
第8回 株式会社コロプラ「プロ野球PRIDE」(1/2)
iPhone/Androidアプリとして300万ダウンロードを達成(2013年5月2日現在)し、高い人気を集めている「プロ野球PRIDE」は、プロ野球12球団の500名以上の選手が実名で登場するカードバトルゲームだ。IP(Intellectual Property)系のゲームとして「プロ野球PRIDE」は、どのように企画され、どのような工夫を行うことで人気ゲームの地位を確立したのだろうか。「プロ野球PRIDE」のプロジェクトマネージャの石渡氏、エンジニアの菅原氏、アートディレクターの大室氏に話をうかがった。
「プロ野球PRIDE」とは
一般社団法人日本野球機構(NPB)承認で、プロ野球12球団の500名以上の選手が実名で登場するプロ野球ゲーム。好きな球団を選択し、選手カードでベストメンバーを組みながら戦っていく。2012年4月4日にリリースされ、2013年3月には2013シーズンに合わせて選手カードを一新。リリースから1年経過した今なお、Google PlayやApp Storeの国内ゲーム売上ランキングにおいて10位以内を維持し続けている。
日本野球機構承認、NPB BISプロ野球公式記録使用
URL http://colopl.co.jp/probaseballpride/
©COLOPL, Inc.
Interview 1/2
カードバトルゲームで
日本のプロ野球の世界を表現する
「プロ野球PRIDE」の制作メンバー。左からエンジニアの菅原氏、プロジェクトマネージャの石渡氏、アートディレクターの大室氏 |
「プロ野球が好きな人が楽しめるようにバッティングのアクションなどを表現するには、フィーチャーフォンでは無理があると思っていました。また、ファンとして球場に足を運んでいるときに感じていた試合開始前の盛り上がりを表現したいとも思っていましたね。守備につくために選手がダイヤモンドに散っていって、さあ試合がはじまるぞという盛り上がりは、選手名を並べて縦スクロールで表示させるだけでは伝わりません。野球のグラウンドの各ポジションに写真つきで選手が配置されるデザインにはこだわりました」と石渡氏は話す。
株式会社コロプラ プロ野球PRIDEプロデューサー 石渡氏 |
株式会社コロプラ エンジニア 菅原氏 |
「プロ野球PRIDE」の開発期間は、約3カ月。ソーシャルアプリとしては短いほうではないが、プロ野球へのこだわりからバッティングのアニメーションやグラフィックをしっかりとつくっていく必要があった。また、2月にならないと新選手の写真が手に入らないことも問題だった。2012シーズンは横浜DeNAベイスターズが初めて参加し、前シーズンからユニフォームを変更したチームもいくつかあったため、過去の写真を利用することもできなかったという。エンジニアの菅原氏は「デザイナーなどのメンバーのやりくりも考えれば、実質2カ月しか開発期間がありませんでした。メインの部分はほかのゲームと共通化されたライブラリがありますが、ほとんどの部分は最初からつくる必要がありましたね。機能ごとに担当をわけて、メインの機能を先につくりつつ、最後にコミュニティやメッセージの部分をつくるようにしました。もともと野球が好きだったので、用語などで困ることはなかったし、“野球らしさ”を追求しながらつくれたのはよかったと思います」と当時を振り返ってくれた。
クオリティが高く、おもしろいものをつくれば
必ず続けて遊んでもらえる
実在の球団や選手が登場し、プロ野球の世界を楽しめるカードゲーム「プロ野球PRIDE」 日本野球機構承認 ©COLOPL, Inc. |
プロ野球のカードゲームをつくるという点では、石渡氏が子供のころに遊んだプロ野球カードゲーム(実際のカードを使ってサイコロを使ってヒットやアウトを判定するゲーム)が原点にあるようだ。「まだスマートフォンも携帯電話もない時代に遊んだプロ野球のカードゲームがすごく印象に残っており、、プロ野球PRIDEを制作する上でも原点となりました。デバイスは変わっても、プロ野球の世界やスポーツゲームならではのアクション性はどちらも表現したいという思いから現在の形になってきました」と石渡氏は話す。
バッティングなどのアクションにこだわって制作されている。 日本野球機構承認 ©COLOPL, Inc. |
全国のチームとマッチアップしてバッティングでポイントなどを稼ぎながらカードを獲得し、最強メンバーをつくっていく。 日本野球機構承認 ©COLOPL, Inc. |
(取材・文・撮影:野本幹彦)
>>> 後編に続く