「HTML 5が開くWebアプリケーションの隆盛──後編」 by. 小川 浩



「HTML 5が開くWebアプリケーションの隆盛──後編」
2009年11月2日

TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)


HTML 5の背後にGoogleあり

ここからは筆者が考える、HTML 5普及への道とその結果として生まれる新しいWebアプリ全盛時代へのシナリオだ。

まず、HTML 5は、マイクロソフトのブラウザであるIE8以外の最新ブラウザのほとんどがフルコミットをし始めており、その背景には「Googleの存在」がある。Googleは、プラグインを必要とせずにリッチなWebアプリケーションをブラウザ上で動作させていくことに使命感を抱いているのだ。

さらに、今にして思えば、AppleのiPhoneがFlashを採用していないという事実が、既に退任したとはいえGoogleのシュミットCEOがAppleの取締役会のメンバーであったというもうひとつの事実と重なり大きな意味を持ってくる。


Google Japanが準公式サイトとして開設した「HTML5-Developers-jp」
http://groups.google.co.jp/group/html5-developers-jp


モバイルネットもクラウド化する

PCの世界では、クラウド化とSaaSによるアプリケーションのパワーシフトがどんどん進み、クライアントソフトをわざわざインストールする意義が希薄になっている(それがWeb2.0の本質と言っていい)。

ところがモバイルの世界では、iPhone登場以降、Google主導のAndroidもそうだが、スマートフォンが台頭し始めて、クライアントアプリが大きな市場を作り始めている。

ではPCプラットフォームではクラウド、モバイルではクライアントアプリ、という二極化が進むのかというと、そうではない、と筆者は考えている。

Appleはドル箱であるAppStoreを矮小化させるような動きには抵抗するだろうが、Googleはなんとしてもモバイルインターネットもクラウド化を進めたいはずであり、そこがシュミットCEOがApple取締役を退任した最大のポイントであると筆者は考えているのだ。

繰り返すが、HTML 5は、CSSとJavaScript中心の標準的なWebの進化を促すものであり、Adobeやマイクロソフトといった特定ベンダーの基準に乗るものではない。またApple独占のアプリの世界のプラットフォームでもない。

Googleの真の意図はどうあれ、大義名分はHTML 5とGoogleにある。


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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。



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