Google Analyticsの習得がWebクリエイターに必須となる理由



Google Analyticsの習得がクリエイターに必須となる理由
2010年4月28日

TEXT:石井研二
(株式会社HARMONY 取締役 兼 COO)

ツールを入れれば終わりではない、データの読み取りが重要

2009年後半から、アクセス解析ツール「Google Analytics」の相談の形が変わってきた。これまでは無料ツールということで中堅・中小企業からの相談が多かったのだが、急に大企業からの相談が増えてきた。皆、ほかのツールからの乗り換えを検討しているという。

つまり、アクセス解析ツールに高い費用を払うのではやめて、解析データの収集・集計の部分は無料にし、データの読み取り・改善策づくりの部分にコストを使うべきではないか、と考えているのだ。

読み取りと改善施策の策定という部分は、これからはクリエイターにとって必須の修得項目ということになりそうだ。ただ制作をして納めて終わりではなく、アクセス解析もGoogle Analyticsを導入して終わりではいけない。そのデータの読み取りから成果を高めるところまで見ていかなければならないのだ。


アクセス解析はクリエイターの強い味方

Goolge Analyticsは無料の高機能解析ツールだ。Googleアカウントのメールアドレスで申し込むと「トラッキングコード」と呼ばれるスクリプトが発行される。それを各ページの</body>タグの直前にコピー&ペーストするだけで導入できる。

そのデータから改善に結びつけていけばサイトの成果が高まる。サイトの成果が高まれば、クリエイターに対するクライアントの評価が高まり、次の予算を引き出すことができる。「悪いデータがでたらどうしよう」と心配するクリエイターも少なくないが、解析ツールはクリエイターにとって強い味方なのだ。


資料請求を増やすために、Google Analyticsのどこを見る?

では実際にどこを見れば良いのか? 具体例で考えていこう。資料請求が増えない悩みを抱えたサイトがある。解析データを見ていないと、「資料請求フォームが悪いのではないか?」と考えがちだ。が、実際にはそれでフォームを直しても成果は高まらない。なぜか? Google Analyticsでコンバージョンのプロセスを見ると、フォームから情報送信完了(サンキュー画面)への到達率は高いことが多いからだ。では何が悪いのか?

そこで「上位のコンテンツ」という解析項目で資料請求フォームのページのセッション数を見てみよう。すると全セッションに対してわずか2%しか資料請求フォームのページを見ていないことが分かったりする。フォームの成績が悪いのではなく、そもそもフォームのページにたどり着く人が少なかったのだ。対策は簡単。現状の「資料請求ボタン」ではクリックされることが少ないのだから、もっと魅力的な「こんなに良い資料があるなら資料請求したい」と思わせるボタンをつくり、今の場所とは違う位置にボタンを増やせばよいのだ。

さらに、どんな検索で訪れた人が資料請求する率が高いか? どのページを見た人が資料請求に移動するか? これらを調べていけば、着実に成果を高めることができるだろう。Google Analyticsでデータを読む力をつけることは、顧客との良い関係を築くのに欠かせないものとなっているのだ。


Google Analytics


[筆者プロフィール]
いしい・けんじ●株式会社HARMONY 取締役 兼 COO。1995年からアクセス解析を始め、多くの企業サイトを成功に導いてきた。5月18日、19日、20日には、3日連続でGoogle Analyticsの活用法を徹底解説するセミナーを開催。これまでのセミナーでも制作者が多数参加している。セミナー詳細はこちら。
http://www.harmony-corp.co.jp/information/seminar.html
『集客力を飛躍的に向上させるGoogle Analyticsアクセス解析の極意』(秀和システム)など、著書も多数。

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