ソーシャルメディアマーケティングの主軸=SMO(Social Media Optimization)とは(後編)



ソーシャルメディアマーケティングの主軸=SMO(Social Media Optimization)とは(後編)
2010年8月9日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

本記事は「ソーシャルメディアマーケティングの主軸=SMO(Social Media Optimization)とは(前編)」の続編になります。前編をまだお読みいただいていない方は前編からお読みください。

SMOとは「ソーシャルメディア最適化」の略であり、「SEO」(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)に対比する用語だ。言葉自体は2006年ごろには存在していた。「SEO」が検索エンジンから自社サイトへのトラフィックを最大化することであるように、ソーシャルメディアからのトラフィックを最大化するのが「SMO」だ。

SMOがいかに重要かを考えるには以下の図を見てもらうのが早い。



これは、マスメディア、検索エンジン、ソーシャルメディアの3つのトラフィックエンジンの相関図だ。リアル店舗やポップ、チラシや無料クーポン紙などからの流入、たとえばQRコード経由等のトラフィックは非常に微量なので、ここでは無視している。

現代の広告戦略では、Webによる詳細情報の伝達が重要だ。

テレビの15秒スポットによる広告では商品名を伝えることで精一杯だ。競合他社の類似商品が数多く存在するいま、商品名をユーザーに覚えてもらうことは難しいし、他社との差別情報を届けることは、テレビCMではもはや不可能になっている。従って、企業はすべからずWebサイトに商品の詳細情報を置き、そこに宣材顧客を誘導することが基本戦略になっているわけである。

そこで、図のように、トラフィックを自社サイトに誘導するための技術やルーティングの設計を考えることが重要なわけだ。

前回述べたように、ソーシャルメディアが発生させるトラフィックはインターネット全体の30%に達していると思われる。マス広告と検索エンジンによるトラフィックの誘導については、SEO/SEMの基本テクニックとして確立されているが、SMO/SMMについてはいまだ手つかずになっている。

というよりも、マスメディアと検索エンジン、そしてソーシャルメディアはいまや完全に相関関係にあり、相互に強く影響し合っている。つまり、今後のマーケティングは全体を把握した上でトラフィックの流れを(ロスを少なくして)スムーズに引き込むための設計が必要なのである。

ということは、SMOを考えるということは、ソーシャルメディア対策というよりも、マーケティング全体との相互作用を再設計するということになる。米国では「CMO」(Chief Marketing Officer)といって、広告、プロモーション、広報をすべて統括する責任者を置くことが多いが、SMOを本格的に進めていくには、このCMOというポジションを企業は設置していかねばならないかもしれない。


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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。

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