プロジェクトは「コミュニケーション計画」で決まる(中編)



Webディレクターのためのプロジェクトマネジメント
プロジェクトは「コミュニケーション計画」で決まる(中編)
2010年8月26日
TEXT:滝澤 耕平(株式会社ロフトワーク シニアディレクター)

本記事は「プロジェクトは「コミュニケーション計画」で決まる(前編)」の続きです。


コミュニケーションを設計するための3つの視点

前回は、プロジェクトでよく使われるコミュニケーションツールのメリットとデメリットを紹介した。今回は、コミュニケーション計画に落とし込む方法について解説する。コミュニケーション計画を考える際に最低限必要不可欠なポイントは、以下の3つだ。

1. フェーズ(タイミング/頻度)
2. 内容
3. ステークホルダーの特性

今回は「1. フェーズ」について、下記のような場合を想定して考えてみたい。

【想定プロジェクト】
▼概要
 約6カ月間の新規Webサイト制作のプロジェクト

▼クライアント
 窓口の担当者が1名。そのほかに各事業部門担当者が計10名
 各担当者のプロジェクトへの参加意識は高い

▼プロジェクトフェーズ
 1. 要件定義フェーズ
 2. 設計フェーズ
 3. 実装フェーズ
 4. 終結フェーズ


1. 要件定義フェーズ

要件定義フェーズでは要件をつめていくことはもちろん、特に新規プロジェクトの場合、ステークホルダー間の信頼関係を構築するための重要な期間でもある。したがって、この期間中は「ミーティング」をメインにコミュニケーションを設計するのが効果的だ。たとえば週ごとの定例会を設定するといった対応が必要な時期になる。

【このフェーズで有効なコミュニケーションツール】
●定例会(隔週 ○曜日 ○時から1時間程度)
●メーリングリスト(情報共有用)
●オンラインスペース(ドキュメント共有用)




2. 設計フェーズ

設計フェーズでは、設計したもの(ワイヤーフレームや仕様書など)に対して「いかに承認をもらうか」という承認プロセスが重要になってくる。

「承認者は誰なのか」、「クライアント社内での承認プロセスはどのようになっているのか」を確認しながら、あらかじめ「プロジェクト内での承認プロセス」を明確化しておくことが重要だ。

たとえば前述のプロジェクトの場合、直接やり取りをするステークホルダーはすべて担当者レベルなので、承認時はさらに上長の許可が必要になると予想される。

その存在をあらかじめ認識しておけば「最終的に承認をとるべき相手」が明確になるので、より承認をとりやすい提案を行うことができ、確認期間をスケジュールに反映させておくこともできる。

また設計フェーズでは話題がより詳細に移っていくので、ステークホルダー全員が集まるミーティングの開催頻度を下げ、分科会のようなミーティングの開催頻度を上げることも場合によっては必要となる。ただし分科会での決定事項は、そこに欠席者とも情報を共有する手段を必ず設けておかなければならない。共有の方法はさまざまだが、前述のプロジェクトの場合はクライアントのプロジェクトへの参加意識が高いという点から、メーリングリストを使うとよいだろう。

もしメーリングリストでは見落とす可能性が高いのであれば、ドキュメント共有用のオンラインスペースなどを別途用意して、毎回見てもらうようにする方法も有効である。

【このフェーズで有効なコミュニケーションツール】
●定例会(隔週 ○曜日 ○時から1時間程度)
●デザイン分科会(毎週 ○曜日 ○時から1.5時間程度)
●システム分科会(毎週 ○曜日 ○時から1時間程度)
●メーリングリスト(情報共有用)
●オンラインスペース(ドキュメント共有用)




次回は、実装フェーズと終結フェーズについて解説する。

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プロジェクトは「コミュニケーション計画」で決まる(前編)
プロジェクトは「コミュニケーション計画」で決まる(後編)





[筆者プロフィール]
たきざわ・こうへい●株式会社ロフトワーク クリエイティブdiv. シニアディレクター。大手出版社を経て2007年にロフトワーク(http://www.loftwork.jp/)入社。おもに中規模から大規模のCMSサイトの構築を得意とし、アバター制作などコンテンツディレクションも手がける。2010年10月にはプロジェクトマネジメントのイベント「PMI日本フォーラム」で登壇予定。

○loftwork.com:http://www.loftwork.com/
○loftwork.com リニューアルβ版:http://beta.loftwork.com/



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