Facebook初代社長ショーン・パーカーの事実

Facebook初代社長ショーン・パーカーの事実
2011年1月24日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

Facebookの躍進を支える資金と人脈、そして企業としての体裁をつくり上げたのが、Facebookの初代社長のショーン・パーカー(Sean Parker)であることはあまり知られていない。米Facebook社の創業者であるマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)が、Facebookという車のドライバーでありエンジンであるとすれば、ショーンはカーナビであり、燃料タンクだ。彼は、Facebookをビッグビジネスへと導くガイドラインを示したうえで、スタートアップの急成長を支えるガソリンとオイルである資金の調達に、大きな役割を果たしたのである。

ショーン・パーカーは、典型的なシリアルアントレプレナー(連続してさまざまな事業を創業する起業家)のひとりだ。彼は1999年に設立された音楽共有ソフト会社である米Napster社(ナップスター)の共同創業者のひとりであり、さらに2002年にはオンラインアドレスブックサービス会社の米Plaxo社(プラクソ)の共同創業者兼社長でもある。

ショーン・パーカーはインターネットにおける情報コンテンツの共有サービスを事業化する天才だ。彼はナップスターで音楽というコンテンツを共有するサービスを立ち上げ、プラクソではアドレスブックを共有するサービスを立ち上げる。しかしナップスターは、音楽を著作権無視で共有させてしまうという違法性を否定できずぶ消滅の憂き目に遭い、プラクソではショーンはベンチャーキャピタルとの権力闘争に敗れ、追い出された。

その結果、両社では金銭的な成功を手にすることができず、彼が次に目を付けたのがFacebookだった。今度共有するのは、モノではなく人間関係、というわけだ。彼はクールなサービスをつくることには熱心な天才ハッカーに、必要な人脈と資金源を紹介することで、ベンチャー企業としてのあり方を示す。スタートアップのファーストラウンドの資金として50万ドルを、米PayPal社(ペイパル)の創業者であり投資家であるピーター・シエル(Peter Thiel)から受け入れると、ショーンも約7%の株式(当時)を受け取り、米Facebook社の初代社長に就任する。それによってFacebookは学生のサークル的なサイト運営から、スタートアップベンチャーとしての運営に形を変え、巨大ビジネスへの道を歩み始めることになるのである。

最終的に、ショーンは派手な私生活がたたって、Facebookまでも追い出されてしまうが、それでも大きな金銭的成功を収めると同時に、Facebookとも適度な距離を保ちつつ、現在も起業家としての活動を続けている。




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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