Facebookとソーシャルメディアマーケティングの歴史的大成功例との関係

Facebookとソーシャルメディアマーケティングの歴史的大成功例との関係
2011年1月31日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

クリス・ヒューズ(Chris Hughes)をご存じだろうか。

映画「ソーシャル・ネットワーク」でも、登場回数は少ないながら、Facebookの広報担当者として役割を果たした様子がうかがえる。そう、彼は世界最大のSNS、「Facebook」の共同創業メンバーのひとりなのだ。

彼はFacebookを創業したマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)のルームメイトで、取材が殺到するFacebookの初期のスポークスマンと して大きな役割を果たした。その経験を生かして彼が一気に全国区の知名度を得たのは、米国初の黒人大統領バラク・オバマ(Barack Obama)の当選に一役買ったためだ。

クリスは自身がゲイであるということからも、人権問題やマイノリティの社会的地位の向上について人並みならぬ関心を持っており、そのことからオバマ陣営のITチームに身を置くことを決意した。そして、Facebook創業の経験を活かし、オバマ支援者をオンラインで束ねるため「MyBO」(my.barackobama.com/)と呼ばれる専用SNSを立ち上げ、80人以上とされるITスタッフのリーダーとして活動を開始する。

「MyBO」は、会員登録した支援者達が自由にコミュニティをつくることができるようにすると同時に、MySpaceやFacebookなどといった既存のメガSNSとのメンバー交流を促す仕組みを有していた。さらにオンラインで小額献金を行う決済システムを持っており、5ドル、10ドル といった単位での献金を可能とした。また、ボランティア達の草の根運動を支援するさまざまなオバマグッズ(Tシャツ、アクセサリー、マグカップなど)を販売するオンラインショップなども用意した。

クリスはこうしたテクノロジーと政治活動の融合を巧みに行い、若年層でのオバマファンを増やすことに成功した。彼が指揮したインターネットを介した選挙戦は、歴史に残る大成功であり、今後のソーシャルメディアマーケティングの最高峰の事例として語り継がれるだろう。

政治学でも軍事学でも、先史における成功事例を丹念に研究することから始まる。「MyBO」を中心とした選挙戦をこと細かく分析することは、オンラインとオフラインの融合が始まった現代のマーケティングにおいて必須となることは間違いがない。



MYBO




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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