法人向けサービスの実現に腐心するGoogle+

法人向けサービスの実現に腐心するGoogle+ 2011年8月15日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

インターネットデータ調査会社comScoreの最新データによれば、Google+のユニークユーザー数はすでに2500万人に達しているらしい。サービス公開後わずか1カ月程度で、この数字は凄まじいの一言だ。とはいえ、Google+はGmailユーザーにとっては機能追加の流れで登録できるわけで、そもそも巨大なユーザーベッドを持っていたわけだから、FacebookやTwitterなどのベンチャー企業と比べるのは不公平といえるだろう。

さて、そのGoogle+は現在Google Apps for Businessのユーザー、すなわち法人ユーザー向けにはサービスを許可していない。僕はGoogle+にはふたつの法人向けビジネスの可能性を感じている。それは

(1) 企業内コラボレーション
(2) マーケティングサービス

だ。前者は米国のYammer(やモディファイが提供するSMART4B)などの企業内Twitterと競合するもので、自社独自のドメインをGoogle Appsにマッピングしている企業であれば、“社内Google+”は非常に有用な情報共有サービスになるはずだ。Yammerが企業内Twitterであれば、Google+は企業内Facebook的な使い方ができるからである。

後者はFacebookページと同様に(Google+ページというべきか?)、企業がGoogle+ユーザーとコミュニケーションをとりながら、ソーシャルCRMを行えるサービスを提供するというアイデアだ。

僕自身は前者に非常なチャンスがあると思うのだが、いまのところGoogleが実際に優先して実験しているのは、後者のGoogle版Facebookページのほうらしい。

Googleは、6月末にGoogle+の提供を開始した。もちろん個人ユーザーを対象にしているわけで、前述のように現時点では法人向けのGoogle Apps for Businessでは利用できない。しかし、Googleは米国内で自動車メーカーのフォード(https://plus.google.com/114277687548103339609/posts)にのみ法人アカウントを与えて、ほかの企業が同じことを試す機会を極力押さえ込もうとしている。企業側がGmailを使って“Google+ページ”をつくろうとすると、アカウントを停止してしまうという事例が多発しているのはそのためだ。彼らは法人と個人の間でのソーシャルネットワークビジネスを模索しているのだろうが、今度失敗したらFacebookと対抗していく術がなくなるだけに、相当に慎重だ。

とはいえ、Google+はFacebookというよりはTwitterに近い口コミ拡散力をもつ。ビジネスページをつくるうえでは、Facebookページ以上のニーズがあるかもしれない。日本のSNSの雄であるmixiも、Facebookページに似たサービスを企画しているらしいとはよくいわれることだが、早く参入し、かつ相当数の企業を押さえていかないと、FacebookページはともかくGoogle+にも一気に差をつけられてしまいかねない。






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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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