FacebookタイムラインがSNS業界に与える影響

FacebookタイムラインがSNS業界に与える影響 2011年09月26日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

世界最大のSNSであるFacebookだが、そのユーザー数の伸びに負けじと、機能拡張に余念がない。2012年にはIPO(新規株式公開)を果たすかと思われていたが、市場からの圧力によってユーザーサービスより広告商品の開発を優先せざるを得なくなることを嫌い、延期になったようだ。

9月22日、f8と呼ばれる開発者向けカンファレンスにて、Facebookは「タイムライン」という新サービスを発表した。Twitterのタイムライン(時系列順に表示されたツイート)とは違い、いままでの(Facebookの言葉を借りれば“生まれてからの”)自分のアクティビティを時系列順に一覧できるというものだ。これは一般にいうライフログ(人間の生活を長期間に渡りデジタルデータとして記録すること、またその記録自体を指す―Wikipediaより引用)の概念をサービス化したものだといえる。

具体的には、友人と共有した写真、動画あるいはリンクなどのデータを自動的に整理したうえで、アルバムのようなビジュアルでまとめてくれる。自分の情報だけでなく、友人や家族などの情報も集積するとのことだ。実際に全ユーザーがこの新サービスを使えるようになるには2~3カ月かかるとのことだが、Google+などライバルサービスの動向も気になるところだ。

そもそもSNSあるいはブログはライフログの一種であるといってもよい。しかし、過去にさかのぼって自分のデジタル化したコンテンツを検索し、引き出すことは意外なほど難しい。これらを一覧することはさらに困難だ。「できる」と「簡単にできる」の間の溝は、じつに深く広いものだ。Facebookのタイムラインは、発想自体にはまったく革新性はないのだが、これまで蓄積してきた自分のコンテンツを“簡単”に引き出し、一覧できるようにしたクリエイティブの成果ということがいえるだろう。

Facebookは、2011年6月にソフトウエアデザイン企業のSofaを買収し、8月には電子書籍作成ツールのPush Pop Press社を買収するなど、クリエイティブ部門の充実を図ってきたのは、このためかもしれない。



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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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