新UIとワイヤレス対応で使い勝手が向上した「Intuos5」速報レビュー

新UIとワイヤレス対応で使い勝手が向上した「Intuos5」速報レビュー 2012年03月01日
TEXT:山口 優

株式会社ワコムから、クリエイティブ分野で活躍するプロフェッショナル向けペンタブレットの最新版「Intuos5」シリーズが2012年3月16日発売と発表になった。定評ある精緻でなめらかな書き心地に加え、新UIの採用やワイヤレス対応などで使い勝手が一層向上しているのが特長となる。今回は同シリーズの中からマルチタッチジェスチャーにも対応した「Intuos5 touch」の「medium」モデルをお借りしたので、その詳細をレポートしよう。




■全モデルでワイヤレスに対応し、離れた場所から操作可能

ワコムの「Intuos」シリーズは、精密な操作が必要となる画像加工やイラスト作成になくてはならないツールとして、グラフィック分野のクリエイターを中心に人気のあるペンタブレット。今回発表された「Intuos5」はその最新モデルで、新UIの搭載により使い勝手が大幅に向上しているのが大きな特長だ。

製品のラインアップは、ペン操作に対応した「Intuos5」と、ペン操作に加え指先でのタッチ操作にも対応した「Intuos5 touch」の2シリーズに分かれている。入力エリアのサイズは、Intuos5が「small」と「medium」の2種類、Intuos5 touchが「small」、「medium」、「large」の3種類用意されており、用途によって最適なモデルを選ぶことが可能。いずれのモデルもワイヤレスに対応しており、オプションのワイヤレスキット(付属モデルもあり)を装着することで、ケーブルの長さに制約されず自由な場所に置いて操作できる【図1】。もちろん、ワイヤレスキットがなくても付属のUSBケーブルでPCにつなげば有線のペンタブレットとして使用可能だ。

ちなみにワイヤレスキットはBambooシリーズと共通で、2.4GHz RF方式のものを使用する。Intuos5側にワイヤレスモジュールを、PCのUSBポートにワイヤレスレシーバを装着すると、ペアリング設定などは一切不要でワイヤレス接続が完了する。実際に使用してみたが、PCのディスプレイから離れた場所でも操作できるのは非常に便利。レスポンスもよく、有線と変わらない感覚で使用できた。ケーブルに煩わされずに作業できるのは、想像以上に快適だった。


【図1】Intuos5 touchとワイヤレスキット。ワイヤレスモジュールはペンタブレットの背面に収納できる。ワイヤレスレシーバはPCのUSBポートに装着する



■新UI「エクスプレスビュー」で使い勝手が向上

筆圧機能や最小ON荷重などのペンタブレットとしての基本性能は、好評だった前モデルの性能をそのまま継承しており、非常になめらかな書き心地を実現している。ファンクションキーやタッチホイールも前モデルと同様に搭載。なお、前モデルではキーやホイールの横に設定内容を表示する有機ELディスプレイが搭載されていたが、今回はそれが省略され、代わりに設定内容をPCのデスクトップ画面にオーバーレイ表示する新UI「エクスプレスビュー」が採用されている。これにより、ディスプレイから目を離さなくてもキーやホイールの設定を画面上で確認できるようになった。

エクスプレスビューの使い方は非常に簡単。タッチセンサー内蔵のファンクションキーに指を載せると【図2】、PC画面にはキーに割り当てられている設定内容がオーバーレイ表示される。画面上では指を載せているキーがハイライト表示されるので、どのキーを触っているかが一目瞭然だ【図3】。

ちなみにファンクションキーのうち「設定内容の表示」キーを押すと、ファンクションキー、タッチホイール、ペン、タッチ機能のすべての設定内容を一画面に表示できる【図4】。しかも、その画面内から各機能のプロパティ画面を呼び出し、キーやホイールなどに割り当てられている機能を変更することも可能。いずれもPC画面から目を離さずに操作できるため、作業に集中しているときでも思考を中断せずにすむのがうれしい。


【図2】本体に搭載されているファンクションキーとタッチホイール。キーにはタッチセンサーが内蔵されている


【図3】ファンクションキーに指を載せると、その設定内容がPCのデスクトップ画面にオーバーレイ表示される。そのとき、指を載せているキーがハイライト表示されてわかりやすい


【図4】「設定内容の表示」キー(デフォルトでは、上から2番目のキー)を押すと、ファンクションキー、タッチホイール、ペン、タッチ機能のすべての設定内容を一覧できる



■5本指までのマルチタッチジェスチャーに対応

今回お借りしたIntuos5 touchは、マルチタッチジェスチャーにも対応している。これは、Intuosの入力エリアでiPhoneやiPadなどと同様のタッチ操作を実現する機能。タップやドラッグのほか、スクロールやフリック、スワイプなどのジェスチャーも使用することができる【図5】。認識できる指は5本まで。プロパティ画面では、一部のジェスチャーに割り当てる操作を変更することも可能で、ペン操作に専念したいときはタッチ機能自体をオフにしておくこともできる【図6】。

もっとも、ペン操作とタッチ操作はしっかり区別されるので、常時タッチ機能オンでも問題になるケースは少ない。実際、ペン操作のとき手のひらの一部が入力エリアに触れていても、誤動作することはなかった。またペンを持ったままでも、問題なくタッチ操作することができた【図7】。ペン操作とタッチ操作がシームレスに切り替えられるため、マウスやタッチパッドがなくてもまったく不便さを感じなかった。ペンタブレットユーザーの中には、使い慣れたマウスをペンと併用している人もいると思うが、Intuos5 touchなら入力デバイスをペンに集約しても戸惑うことは少ないはずだ。

Intuos5 touchは、高精度な筆圧機能や最小ON荷重によるなめらかな書き心地で人気となった前モデルの基本性能を受け継ぎながら、使い勝手を大幅に進化させたモデルといえる。作業効率や直感操作を重視するクリエイターには力強い武器になってくれるだろう。



【図5】タップやドラッグ、スクロール、フリック、スワイプ、ズーム、回転など、さまざまなマルチタッチジェスチャーに対応している


【図6】Intuos5 touchのプロパティ画面。一部のジェスチャーは、このように割り当てる操作や機能をカスタマイズすることができる


【図7】ペン操作とタッチ操作の切り替えは非常にシームレスで快適だった。ペンを持ったままでも、問題なくタッチ操作することができた


■製品概要
●製品バリエーションとワコムストア価格
ペンモデル
24,801円(Intuos5 small)
34,800円(Intuos5 medium)

ペン&タッチモデル
27,800円(Intuos5 touch small)
37,800円(Intuos5 touch medium)
47,800円(Intuos5 touch large)

●対応システム
Windows
USBポートを標準装備したDOS/V機/Windows 7(SP1以降)/Vista(SP2以降)/XP(SP3以降)日本語版(64ビット版含む)/インターネット接続

Mac
USBポートを標準装備しIntelプロセッサを搭載したMac/Mac OS X 10.5.8以降/インターネット接続

■問い合わせ
株式会社ワコム ワコムインフォメーションセンター
TEL 0120-056-814
http://wacom.jp/

MdN DIのトップぺージ