Facebookページのタイムライン化が引き起こす波紋

Facebookページのタイムライン化が引き起こす波紋 2012年03月05日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

Facebookが企業向けのブランドページサービス「Facebookページ」のトンマナ(トーン&マナー)を大きく変更し、個人ページ同様にタイムライン化することを発表した。すべてのFacebookページは3月30日をもって強制的にタイムライン化されて、これまでのページのトンマナは表示できなくなる。

これを受けて、Facebookページをマーケティングやブランディング用途に利用している企業や、それらの企画・運用を代行している代理店などの間に波紋が広がっている。これまでのFacebookページは企業の基本データの入力やプロフィール画像の制作、写真やイベントなどのいわゆるデフォルトタブの設定といった基本的な作業に加えて、Welcomeタブでのクリエイティブに凝ることでブランドイメージを示すというものだった。

Welcomeタブは、「いいね!」をまだしていない(つまりファンになっていない)訪問者に対して常時表示されるように優先設定できる機能として、Facebookページのマーケティング用途としては最大の要素だ。しかし今回の発表によって、このWelcomeタブの設定はできなくなる(タブという呼び方もなくなり“アプリ”に統一される)。企業側は代わりにブランドイメージを伝えるものとして、タイムライン上部のカバー画像を用意する必要がある。

これまでのFacebookマーケティングの基本的なやりかたは

・FacebookページのURLを自社サイトや広告で告知
・自動的にWelcomeタブへ誘導
・「いいね!」を押したくなる工夫(デザインやアプリなど)
・ファンにのみ見えるサービスや機能の提示
・特典への誘導

というものだったが、今後は大きくやりかたを変える必要がある。タイムライン化によって追加された機能としては、大きくは以下の通りだ。

1. メッセージ機能
Facebookページと一般ユーザーとで、メッセージのやりとりが可能になった。このメッセージ機能はオン/オフが可能で、ユーザーとの直接の交信をしたくなければボタンを外すことで機能をオフにできる。積極的にユーザーとのコミュニケーションをとることでCRM的な効果を期待できるサービスであるが、逆に企業側がきちんと窓口を設けてタイムリーに対応しなければ逆効果になるので、善し悪しがわかれるところだ。

2. タイムライン最上位に表示される投稿の固定機能
タイムラインは基本的に時系列で情報が掲載されるわけだが、この場所に同じ投稿をピン留めして固定しておく機能が追加された。キャンペーン情報などを置いておきたい場合に良い機能だ(最大7日間)。

3. 投稿のハイライト機能
目立たせたい投稿を、最大幅で拡大表示する機能がハイライト表示機能だ。投稿の固定機能と合わせて、これからは投稿内容そのものに価値を持たせていかなければならない、ということであり、結果として運用に相当なマンパワーを割かなければならなくなるかもしれない。

4. アプリの表示
タブがなくなる代わりに、カバー画像下にブロック上のメニューが並ぶことになった。アプリを置くのであれば、ユーザーに分かりやすい画像のアプリアイコンを作成する必要があるだろう。

このほか、投稿した画像が自動的にリサイズされなくなったために、自分たちで工夫して適切なサイズの画像を用意しなければならなくなったなど、全体としてFacebookページの運用コストが上がったような感じが否めない。ユーザーと同じように、ソーシャルなコミュニケーションを行え、というFacebook側の通達、と思うほかないだろう。




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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