Tumblrは日本国内でもブレイクできるか

Tumblrは日本国内でもブレイクできるか 2012年04月23日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

Tumblrは“タンブラー”と読む。ブログに似ているが、ブログがHTMLなどの基礎知識なしでもWeb上に自分のコンテンツを配信できる、というコンセプトでつくられているのに対して、Tumblrは自分のものかどうかは関係なく、とにかくコンテンツをWebに配信すること、できるだけ手をかけずに行えることをコンセプトにつくられているといえる。

また、ブログは単一企業のサービスではなく標準フォーマットであるが、TumblrはTumblr,Incという企業だけが提供する特定のサービス名称である。その意味ではミニブログやマイクロブログと言われたTwitterに近い。

Tumblrはブログ同様に、テキスト・画像・リンク・音声ファイル・動画(YouTubeの動画)などを投稿できるが、ほかのユーザーをフォローすることができる点でTwitterに似た機能をもつ。逆に、トラックバック機能はもっていない。

さらに、RTに似ているが、Reblog(リブログ)といって、ほかのユーザーの投稿内容を自分のエントリーとして引用投稿することが簡単にできるようになっている(これが冒頭に説明した、自分のものかどうかは関係なく、あらゆるコンテンツが簡単に配信できる、という意味だ)。もちろん、Reblogされたコンテンツが誰のエントリーから引用されたものかはフラグがたてられているので、一応著作権に配慮しているといえるが、みずからはいっさい情報を発信せず、Reblogだけでエントリーを重ねてPVを稼ぐような、ちゃっかりした利用者も多く、複製されたオリジナリティのないWebサイトが量産されることに眉をひそめる識者もおおい。

このTumblrは単一サービスでありながら、全世界のブログ(ASPによるブログサービスや、MT、WordPressなどの利用者)が生むトラフィック量に肉薄しており、いずれは一般のWeb利用者がコンテンツ配信のメソッドとして、ブログ以上の一般認知を得る可能性がある。なお日本国内では、現時点ではコアなネットユーザーには熱烈に受け入れられていながらも、アメブロやCroozなどの国産ブログサービスの牙城を脅かすまでにはいたらず、若干マニアックな立場にとどまっている。

Google+はFacebookやmixiを追うために、日本ではAKB48とのタイアップなど、Web業界に身を置きGoogleをリスペクトしてきた身からすると少々軽薄な手段に打って出ているが、このような方策はむしろTumblrにこそ求められている。Tumblrはできるだけライトなネットユーザー、初心者層を捕まえて、一刻も早く日本国内でも一般認知を得る必要があるからだ。

Twitterは2ちゃんねるのような掲示板からの乗り換えユーザーを多く獲得し、Facebookはmixiから相当なユーザーを奪うことに成功しつつある。いまのTubmlrはアメブロを射程に入れて動くべきだ。日本にもPinterestのような、写真に特化した新しいSNSが上陸しつつあり、TumblrのReblogに近いLIKEやRepin機能(気に入った“他人の”写真を自分のページ=ボードに再掲)を有しているから、Tumblrのおもしろさを日本のライトユーザーに先に教えてしまうことにもなりかねないだろう。




TumblrのWebページ
http://www.tumblr.com/


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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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