Googleドライブはビッグデータビジネスの中核になるか

Googleドライブはビッグデータビジネスの中核になるか 2012年05月01日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

GoogleはデスクトップOSの分野でMicrosoftと(Windows vs ChromeOS)、モバイルOSの分野でAppleと(iOS vs Android)、ソーシャル分野ではFacebookと(Facebook vs Google+)激烈な競争状態にある。

そしていま、Googleは新たにGoogleドライブを投入し、DropboxやAppleのiCloudに対抗するクラウドストレージビジネスに参入した。

Googleドライブは、WindowsやMacはもちろんAndroid搭載のモバイルデバイスやiPhone/iPadなどiOS搭載機(ただし2012年5月1日時点では未対応)で利用できるオンラインストレージサービスだ。5GBまでは無料だが、有料ならば16TBまで容量増加が可能である(2012年5月1日時点)。Googleドライブに保存したデータファイルは、対応デバイスがあればいつでもどこでもリアルタイムで編集し、自動で同期できる。

これだけならAppleのiCloudがすでに実現していることだが、iCloudはあくまで個人が自分自身のデータファイルを自動同期する目的でフォーカスされていることに対し、Googleドライブは第三者との共同編集に対応しており、ビジネス用途を意識しているところが大きな違いだ(とはいえ、2012年5月1日時点では国内のGoogle Apps for Business=法人ユーザーにはサービス提供されていない)。機能面でいえば、DropboxやEvernoteに近い、といえるだろう。

ただGoogleには非常に完成度の高いオンラインオフィススイートであるGoogleドキュメントがあり、ほぼありとあらゆる形式の文書ファイルを手軽に扱えるから相当に使い勝手がよい。先行している競合他社は心穏やかではいられないだろう。

Googleはいまや世界最大のビッグデータの持ち主かもしれない。Googleは基幹技術としての検索エンジンをベースに、Gmailで個人間の直接的かつ1対1のコミュニケーションデータを、Googleドキュメントでオフィシャルな文書データを、そしてGoogle+で非構造なn対nのコミュニケーションデータを集積しようとしており、データの収集口としてモバイルデバイスを重要視する戦略をとっている。この戦略の共通的な受け皿として、クラウドストレージのプラットフォームを再構築し、より強力かつ一般受けしやすい形にしたのがGoogleドライブなのである。Googleからすれば、Googleドライブの成功は疑う余地がないかもしれない。あとはソーシャル分野での劣勢を跳ね返すことができるかどうか、ラリー・ペイジCEOの関心はそこだけにあるだろう。




Googleドライブ

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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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