オウンドメディアのソーシャル化を狙え
オウンドメディアのソーシャル化を狙え
2012年06月04日
TEXT：小川 浩（株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター）
最近僕がもっとも気になっている人物は、レディー・ガガのソーシャル戦略を指揮するトロイ・カーターだ。カーターは黒人であり、元々ラッパー志望だったのがウィル・スミスの付き人になり、その後ハリウッドでさまざまな仕事をこなして頭角を示してきた人物である。彼はすでに資産家としていくつかのネットベンチャーに投資をしているとのことだが、現在は自身がBackplane（http://thebackplane.com/）というスタートアップを興している。同社にはGoogleの投資部門であるGoogle Venturesが出資していることでも知られている。
カーターはレディー・ガガのデジタルビジネス参謀として、彼女の公式SNS「Littlemonsters.com」（こちらを参照：http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/22867/）をBackplaneでつくり上げた。見た目にはPinterestに酷似しているLittlemonsters.comだが、はるかに洗練され、高機能だ。レディー・ガガの楽曲やライブチケットまで購入できる仕掛けになっている。
TEXT：小川 浩（株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター）
最近僕がもっとも気になっている人物は、レディー・ガガのソーシャル戦略を指揮するトロイ・カーターだ。カーターは黒人であり、元々ラッパー志望だったのがウィル・スミスの付き人になり、その後ハリウッドでさまざまな仕事をこなして頭角を示してきた人物である。彼はすでに資産家としていくつかのネットベンチャーに投資をしているとのことだが、現在は自身がBackplane（http://thebackplane.com/）というスタートアップを興している。同社にはGoogleの投資部門であるGoogle Venturesが出資していることでも知られている。
カーターはレディー・ガガのデジタルビジネス参謀として、彼女の公式SNS「Littlemonsters.com」（こちらを参照：http://www.mdn.co.jp/di/newstopics/22867/）をBackplaneでつくり上げた。見た目にはPinterestに酷似しているLittlemonsters.comだが、はるかに洗練され、高機能だ。レディー・ガガの楽曲やライブチケットまで購入できる仕掛けになっている。
カーターの考えは、レディー・ガガのようなすでにブランドを持っているアーティストであれば、FacebookやTwitterだけでなく、自分のメディア（オウンドメディア）をもつべきであり、外部のメガSNS経由で何千万人にリーチするのも大事だが、オウンドメディアあるいはオウンドSNSで集めた数十万人のほうが実際にはお金になる、というものだ。
実際に何人かの芸能人のWeb戦略をお手伝いをさせていただいている僕も同じ課題に直面してきたのであるが、いままでのアーティストのWebサイトはFlashによるムービーやアニメーションを多用した、PC上での見ばえだけを考えたつくりが多い。また、モバイルサイトはPCとは別のソースやコンテンツでつくっており、いわゆるガラケーを中心の考え方だった。しかし現在では、多くのユーザーはPCだけでWebを閲覧しているわけでなく、スマートフォンやタブレットなど、さまざまなデバイスを居場所や時間帯によって使いわけている。iPhoneやiPadで見られないFlashを使っていること自体が、時代遅れでナンセンスなのだということを説明することから、僕の仕事は始まっている。また、デバイス間でコンテンツを統合したり、URLも同じにする大切さを訴えてきた。同時に、ソーシャルメディアの主役はもはやBlogではなくTumblrやTwitter、Facebookに移り、その中心（ハブ）としてオウンドメディアを置くことで、ソーシャルトラフィックを回転（螺旋のように）させていくことを勧めてきた。
カーターがつくり上げたLittlemonsters.comは、現時点ではモバイル対応はしていないが、オウンドメディアを軸にトラフィックを生むという考えは同じであり、世界的なブランド力と発進力を持つレディー・ガガという時代のアイコンを押さえたことで、今後の著名人のソーシャルブランディング戦略化の台風の目になることは疑いなしだ。オバマ大統領の政権獲得の立役者となったMyBO（my.barakobama.com）の開発・運営の中心人物クリス・ヒューズが政治のソーシャル化を進めたことと酷似している（余談だが、当時はオバマが黒人でヒューズが白人そしてゲイであったが、今回はガガが白人でバイセクシャルを広言、カーターが黒人、という逆の組み合わせであることもおもしろい）。
実はこの動きは、著名人に限ったことではない。企業や地方自治体のような団体も、同じように今後はオウンドメディアのソーシャル化を図る必要にさらされるだろう。Facebookページのようなソーシャルメディア上に自社メディアをもつことは、企業として公式にソーシャルメディアに参加することではあっても、その名前のようにページをもつことではないということに企業も気がついているからだ。Facebookページをどんなにうまくつくっても、そこに人を呼び込む（トラフィックを集める）ことはできない。いいね！を押すことは、自分たちの発言を読むことに対するオプトインであっても、そのページを訪れることへの約束ではないからだ。つまり、発言に含まれる情報または直接的なリンクによって、結局外部に置いたオウンドメディアに誘客しなければ意味がない。そして、そのオウンドメディアがソーシャル化対応していなければ、せっかくの訪問者をリピーターに変えることはできない。
トロイ・カーターはハリウッドをデジタル化・ソーシャル化しようとしている。あなたなら、どの業界を変えようと考えるだろうか？
実際に何人かの芸能人のWeb戦略をお手伝いをさせていただいている僕も同じ課題に直面してきたのであるが、いままでのアーティストのWebサイトはFlashによるムービーやアニメーションを多用した、PC上での見ばえだけを考えたつくりが多い。また、モバイルサイトはPCとは別のソースやコンテンツでつくっており、いわゆるガラケーを中心の考え方だった。しかし現在では、多くのユーザーはPCだけでWebを閲覧しているわけでなく、スマートフォンやタブレットなど、さまざまなデバイスを居場所や時間帯によって使いわけている。iPhoneやiPadで見られないFlashを使っていること自体が、時代遅れでナンセンスなのだということを説明することから、僕の仕事は始まっている。また、デバイス間でコンテンツを統合したり、URLも同じにする大切さを訴えてきた。同時に、ソーシャルメディアの主役はもはやBlogではなくTumblrやTwitter、Facebookに移り、その中心（ハブ）としてオウンドメディアを置くことで、ソーシャルトラフィックを回転（螺旋のように）させていくことを勧めてきた。
カーターがつくり上げたLittlemonsters.comは、現時点ではモバイル対応はしていないが、オウンドメディアを軸にトラフィックを生むという考えは同じであり、世界的なブランド力と発進力を持つレディー・ガガという時代のアイコンを押さえたことで、今後の著名人のソーシャルブランディング戦略化の台風の目になることは疑いなしだ。オバマ大統領の政権獲得の立役者となったMyBO（my.barakobama.com）の開発・運営の中心人物クリス・ヒューズが政治のソーシャル化を進めたことと酷似している（余談だが、当時はオバマが黒人でヒューズが白人そしてゲイであったが、今回はガガが白人でバイセクシャルを広言、カーターが黒人、という逆の組み合わせであることもおもしろい）。
実はこの動きは、著名人に限ったことではない。企業や地方自治体のような団体も、同じように今後はオウンドメディアのソーシャル化を図る必要にさらされるだろう。Facebookページのようなソーシャルメディア上に自社メディアをもつことは、企業として公式にソーシャルメディアに参加することではあっても、その名前のようにページをもつことではないということに企業も気がついているからだ。Facebookページをどんなにうまくつくっても、そこに人を呼び込む（トラフィックを集める）ことはできない。いいね！を押すことは、自分たちの発言を読むことに対するオプトインであっても、そのページを訪れることへの約束ではないからだ。つまり、発言に含まれる情報または直接的なリンクによって、結局外部に置いたオウンドメディアに誘客しなければ意味がない。そして、そのオウンドメディアがソーシャル化対応していなければ、せっかくの訪問者をリピーターに変えることはできない。
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［筆者プロフィール］
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ（毎日コミュニケーションズ）、『Web2.0BOOK』（インプレス）、『仕事で使える!「Twitter」超入門』（青春出版社）、『ソーシャルメディアマーケティング』（ソフトバンククリエイティブ／共著）などがある。
twitter：http://www.twitter.com/ogawakazuhiro
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［筆者プロフィール］
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ（毎日コミュニケーションズ）、『Web2.0BOOK』（インプレス）、『仕事で使える!「Twitter」超入門』（青春出版社）、『ソーシャルメディアマーケティング』（ソフトバンククリエイティブ／共著）などがある。
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