モバイルインターネットを生き抜くために―動的デザインを身につけたクリエイターになれ
モバイルインターネットを生き抜くために―動的デザインを身につけたクリエイターになれ
2012年06月11日
TEXT：小川 浩（株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター）
インターネットを利用するうえでの主役がPCからモバイルに変わりゆく中、我々Web業界にいるものにさまざまなパワーシフトが起きていることに着目しなくてはならない。スマートフォンが普及し、現代のモバイルガジェットは急激な進化を遂げたとはいえ、まだまだPCに比べてCPUパワーが低く、インターネット接続速度も遅い。そしてなにより、画面が小さく狭い。これらの制限によって、モバイルインターネットはPCとは異なるコンピューティング環境となっている。つまり、Webではなくネイティブアプリ全盛時代がモバイルに訪れており、結果としてインターネット全体でWebの存在感を矮小化しつつあるのである。
ただ、現在Webというプラットフォームの覇権争いをしているGoogleとFacebookは、ともにモバイルにおいてもWebの復権を強く望んでおり、HTML5によるWebアプリの普及を押し進めている。WebアプリであればiPhone・Android双方で使えるコンポーネントをつくることは容易であり、配布自体も自由にできる。FacebookのiPhoneアプリも実際にはHTMLでベース開発を行い、それをiPhoneやAndroidのネイティブアプリとしてパッケージングしている、いわばハイブリッドアプリなのである。
TEXT：小川 浩（株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター）
インターネットを利用するうえでの主役がPCからモバイルに変わりゆく中、我々Web業界にいるものにさまざまなパワーシフトが起きていることに着目しなくてはならない。スマートフォンが普及し、現代のモバイルガジェットは急激な進化を遂げたとはいえ、まだまだPCに比べてCPUパワーが低く、インターネット接続速度も遅い。そしてなにより、画面が小さく狭い。これらの制限によって、モバイルインターネットはPCとは異なるコンピューティング環境となっている。つまり、Webではなくネイティブアプリ全盛時代がモバイルに訪れており、結果としてインターネット全体でWebの存在感を矮小化しつつあるのである。
ただ、現在Webというプラットフォームの覇権争いをしているGoogleとFacebookは、ともにモバイルにおいてもWebの復権を強く望んでおり、HTML5によるWebアプリの普及を押し進めている。WebアプリであればiPhone・Android双方で使えるコンポーネントをつくることは容易であり、配布自体も自由にできる。FacebookのiPhoneアプリも実際にはHTMLでベース開発を行い、それをiPhoneやAndroidのネイティブアプリとしてパッケージングしている、いわばハイブリッドアプリなのである。
それはともかく、現在のインターネットがモバイル中心であり、ユーザー体験を最大化するには、狭い画面に最適化されたインターフェイスをもつアプリをつくらねばならない事実を認識しておく必要がある。狭い画面ということは、余計な情報や装飾を置いておくスペースがないから、凝ったデザインはできないということだ。というよりも、画像やテキストなどのコンテンツをできるだけ広く表示させなければならない。
数カ月前にiPhone上で注目を集めた、ClearというToDoアプリがある。これはiPhoneならではのフリックやピンチだけを使い、ボタンらしきものは一切置かない、シンプルだが優雅に動くUIを実装して人気を博したのだ。僕もClearの操作感には驚き感動したものの、ひとつひとつの動きはおもしろいのだが、アプリケーション全体で考えるとAからZまでの一貫した流れを把握させるまでには至っていない気がした。結局いまは純正のToDoアプリであるリマインダーを使っている。
ClearはToDoを表現するテキストだけを置き、ボタンなどのアイコンはまったく置かない。コンテンツそのものを指先でタップしたりフリックするという操作だけのUIであり、それ自体はナイストライといえる。ただアプリである以上、瞬間的な操作だけでなく、比較的数時間から数日間にわたるタスク管理をするためのフローまでをシンプル化するまでには至っていない。つまり小さい一枚の画面だけで処理をするのではなく、数枚以上にわたって操作をしていくための動的なデザインが必要だ。
デスクトップ上における情報デザインは相当にこなれてきているが、モバイルの小さく狭い画面に最適なUIはまだまだ発展途上だ。Clearのチャレンジはひとつのヒントであり、今後はよりエイジングを進めていかねばならない。クリエイターにとってまたおもしろい時代が到来しつつあるといえるだろう。
数カ月前にiPhone上で注目を集めた、ClearというToDoアプリがある。これはiPhoneならではのフリックやピンチだけを使い、ボタンらしきものは一切置かない、シンプルだが優雅に動くUIを実装して人気を博したのだ。僕もClearの操作感には驚き感動したものの、ひとつひとつの動きはおもしろいのだが、アプリケーション全体で考えるとAからZまでの一貫した流れを把握させるまでには至っていない気がした。結局いまは純正のToDoアプリであるリマインダーを使っている。
ClearはToDoを表現するテキストだけを置き、ボタンなどのアイコンはまったく置かない。コンテンツそのものを指先でタップしたりフリックするという操作だけのUIであり、それ自体はナイストライといえる。ただアプリである以上、瞬間的な操作だけでなく、比較的数時間から数日間にわたるタスク管理をするためのフローまでをシンプル化するまでには至っていない。つまり小さい一枚の画面だけで処理をするのではなく、数枚以上にわたって操作をしていくための動的なデザインが必要だ。
デスクトップ上における情報デザインは相当にこなれてきているが、モバイルの小さく狭い画面に最適なUIはまだまだ発展途上だ。Clearのチャレンジはひとつのヒントであり、今後はよりエイジングを進めていかねばならない。クリエイターにとってまたおもしろい時代が到来しつつあるといえるだろう。
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［筆者プロフィール］
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ（毎日コミュニケーションズ）、『Web2.0BOOK』（インプレス）、『仕事で使える!「Twitter」超入門』（青春出版社）、『ソーシャルメディアマーケティング』（ソフトバンククリエイティブ／共著）などがある。
twitter：http://www.twitter.com/ogawakazuhiro
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おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ（毎日コミュニケーションズ）、『Web2.0BOOK』（インプレス）、『仕事で使える!「Twitter」超入門』（青春出版社）、『ソーシャルメディアマーケティング』（ソフトバンククリエイティブ／共著）などがある。
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