iOS6とともに登場するSafariは、モバイルWeb復権の立役者になるか?

iOS6とともに登場するSafariは、モバイルWeb復権の立役者になるか?
2012年06月18日
TEXT:小川 浩(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

ジョブズのいないWWDC 2012に対する寂寥の念はさておき、うわさ通りiOS6にFacebookへの投稿機能が正式に搭載される模様だ。しかしWeb業界にいる者にとっては、むしろ小さく控えめにしか発表されていない、iPhone/iPad公式WebブラウザであるSafariのアップグレードのほうがうれしく、大きな意味をもつはずだ。

ざっと新機能をあげてみると

(1)モバイルWebサイトからApp Storeへのスムースな誘導
Webサイトからモバイルアプリをダウンロードさせるために、いままではApp Storeにアクセスするように指示するページが挟まれていたが、今後は該当App Storeへのリンクへ直接誘導できる。

(2)タブの同期
iCouldとの連携により、iOS6を搭載した複数の端末とタブを共有できるようになる。

(3)オフラインキャッシュ対応
オフラインキャッシュをサポートすることで、電波が届かないところでもページのキャッシュをオンにしておけば閲覧できる。メールやカレンダー、ニュースサイトなどの開発者には朗報だ。

(4)画像アップロードのサポート
これがWebアプリ開発者にはもっともありがたい機能だ。iOS6からSafari経由で画像のアップロードができるようになる。HTML5+CSS3によるWebアプリの挙動はネイティブアプリに迫る進化を見せているが、それでも画像をWebにアップさせようと思えばネイティブアプリをつくらざるをえなかった。ソーシャル系サービスは画像共有がキモ、といえるが、今回AppleがWebアプリにも画像アップロードの途を拓いたことで、業界自体に大きな変化を生み出しそうな予感がする。

Appleはモバイルインターネットのゲートウェイとして君臨する過程で、デスクトップ上では全盛時代を迎えていたWebアプリケーションを閉め出し、ネイティブアプリによるインターネット利用を中心とするコンピューティングを一般化させてしまった。いわばWebを衰退させた張本人といえるのだが、今回の措置で今度はモバイルWeb復権の立役者になるかもしれない。


iOS6

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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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