モバイル版Web2.0は2016年ごろに起きる

モバイル版Web2.0は2016年ごろに起きる
2013年02月04日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

ネイティブアプリとWebアプリ。数年前にはPC上ではWeb2.0やSaaSというバズワードとともに、Webが圧勝する形になった。しかし、コンピューティングのプラットフォームがモバイルへとシフトするにあたり、ネイティブアプリが復興したことは周知の通りだ。

しかし、このところサイバーエージェントが社運を賭けてスマートフォンでのサービス事業に舵を取り、ネイティブアプリではなくWebアプリでの開発にフォーカスするなど、徐々にHTML5を中心としたWeb技術に再び注目が集まるようになってきた。サイバーエージェントの場合はApp Storeへの支払いやAndroid対応機種の多さからくる品質チェックの煩わしさを嫌ったのかもしれないが、なによりダウンロードを繰り返さなければならないネイティブアプリよりも、ブラウザ経由で配布できるという利点をとったといえる。

実のところ、ダウンロードしたネイティブアプリといえども、その多くはインターネット接続が必須であるから、画像処理や動的なゲーム以外はWebアプリでだめな理由はない。もちろん絶対速度はネイティブアプリのほうが速いが、PC上でいえばAjaxに代表されるRIA(リッチインターネットアプリケーション)技術が普及したことや、ブロードバンドの普及により通信速度が向上したことで、速度や使い勝手の面でネイティブアプリとWebアプリの性能差が縮まった。Webアプリはネイティブアプリよりも遅いけれど、ブラウザ経由ですぐ使えて、いつでもどこでも誰のPCからでも使える利点が速度差を気にならなくさせたのだ。

LTE・4Gが徐々に浸透してきたおかげで、スマートフォンやタブレットにおいても再びネイティブアプリ対Webアプリの構図が浮き上がり、モバイル版Web2.0というべきブームが起きる可能性がでてきているといえるだろう。

Web2.0を簡単に説明すれば、ブラウザがOSの座を奪うということということだ。Webベースですべてのコンピューティングを行なう方向に進むということである。

スマートフォンが普及するということは、世界中の人間がつねにインターネットにつながるコンピュータを携帯しているということだ。つまり、モバイルプラットフォーム上でWeb2.0的なパワーシフトが進めば、それはリアルな社会生活がWebベースでつながるということになる。現在はiOS対AndroidというOSベースの戦いが展開されているモバイルプラットフォームだが、それはひと昔前のMac対Windowsの構図と同じであり、近い将来ブラウザの戦いがはじまり、そしてブラウザ上のWebアプリやサービスの戦いへと移ることはまちがいない。歴史は繰り返すのである。

僕の予想では、それはあと数年以内に起きる。おそらくは5年以内、いや2016年にはメディアが騒ぎだすように思う。






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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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