【page2013】イベントレポート、新製品や最新技術の展示にとどまらない印刷業の新たな方向性を提案

【page2013】イベントレポート、新製品や最新技術の展示にとどまらない印刷業の新たな方向性を提案




「拡大!コミュニケーション支援ビジネス」をテーマに、2013年2月6日~8日に東京・サンシャインシティコンベンションセンターTOKYOで開かれている「page2013」(主催:日本印刷技術協会)。印刷業界の動向に関連の深い展示や、デザイナーの関心を引く製品やサービスなどを中心に紹介したい。

取材・文=佐藤勝(株式会社フレア)

サイン&ディスプレイ/表現力・生産性を高め、用途も広がる大判プリンタ

屋外サインやディスプレイに対応する大型プリンタの新製品が各メーカーから出展されている。エプソンブースで展示されているインクジェットプリンタ「SC-S70650」は、用紙幅64インチのロール紙が使用でき、メタリックインクを含む10色インクを採用した高画質モデル。写真再現に優れた表現力で、高付加価値の印刷を実現する。


各種大判プリンタを展示するエプソンブース


10色インクで食品や化粧品といった色彩豊かな表現する「SC-S70650」

富士フイルムのブースでは、出版・商業印刷におけるデザイン、製版、校正から印刷加工までを一元管理できるシステム「FUJIFILM WORKFLOW XMF」を中心に各種製品を展開。そのなかで展示された大判LED UVプリンター「Acuity LED1600」は、高級感の表現に効果的なクリアインクを含む8色インクを採用しながら、20平方m/h の高速印刷を実現。サイン・ディスプレイ製作において生産性を大きく向上させている。


統合ワークフロー「XMF」を中心に据えた富士フイルムブース


高画質と高速プリントを両立させた「Acuity LED1600」

フォントサービス・電子出版/新書体・新サービスが続々リリース

モリサワのブースでは、全860書体を利用できるフォントライセンス「MORISAWA PASSPORT」をはじめ、多彩な製品を展示。なかでも、コミック作品の画像やPDFデータを簡単操作でEPUB3形式(固定レイアウト)の電子書籍に変換できる「MC Comic」は、2012年12月に販売開始され、注目を集めている新製品だ。


電子出版関連ソフトや組版ソフトなど、多彩な製品を展示するモリサワブース

フォントワークスのブースでは、ライセンス製品「フォントワークスLETS」を中心に展示。デザイナーに人気の筑紫明朝をさらに伸びやかにリデザインした「筑紫Aオールド明朝」「筑紫Bオールド明朝」をはじめ、2012年12月に追加されたばかりの新書体を含む全266書体をブースで閲覧できる。


新書体も含む全ラインナップがパネルで見られる、フォントワークスブース



ストックフォト・孔版印刷/クリエイティブの細かなニーズに対応

本展示では、クリエイターの細かなニーズに応える製品も提案されている。2000万点以上の写真やイラストが利用できるストックフォトサービス「フォトリア」のブースでは、ギャラリーを快適に閲覧しながら素材を検索できる、無料のiPadアプリを展示。リソグラフ印刷機が中心の理想科学工業のブースでは、デジタルスクリーン製版機「ゴッコプロ 100」も展示。クリエイターにも人気の簡易孔版印刷機「プリントゴッコ」は2012年末に事業終了となったが、同製品はPCからのデータ出力で孔版を速やかに作成できるため、美大や芸術学校などへの導入を目指したいという。


iPadでも写真の閲覧や購入が可能な無料アプリを展示する、フォトリアのブース


PCから出力し、約105秒で製版できる「ゴッコプロ 100」。小ロットのTシャツなど多彩な作品づくりに有利だ


ユーザー目線で情報発信・伝達を考える

印刷関連企業の使命を「コミュニケーション支援(顧客視点による情報発信・伝達支援)」ととらえ直した本展では、AR(拡張現実)、電子書籍、電子バインダなど、メディアの枠を越えたワークフローを提案する製品も多数展示され、印刷業界の今後を考えるカンファレンスでも、デジタルサイネージやCG、ソーシャルメディア、電子出版、電子カタログ、ARなど、クロスメディアのテーマが多く設定されている。

各社ブースの展示を通して、生産性の向上やワークフローの改善だけでなく、それぞれの製品やサービスの持つ特性の延長線上に、「より効果的に伝えるには?」「今までにない新しいコミュニケーションのあり方とは?」といった積極的な取り組みが数多く見られた。

2013年に入り、政権交代で景気の良い話も出始めているが、印刷業界に好影響をもたらすのは半年遅れというのが常識。デジタルメディアの浸透はますます加速し、スマートフォン、タブレットは毎月のように新機種が発売されている今、印刷業界が今後どのようにデジタルメディアと付き合っていくかを考える機会として、page2013を覗くのも面白いだろう。

会場では興味深いソリューションが数多く展示されているので、ぜひ足を運んでみて欲しい。

page2013
公益社団法人 日本印刷技術協会
URL:http://www.jagat.jp/content/section/18/456/
2013/02/07


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