Webとネイティブアプリのプラットフォーム争い

Webとネイティブアプリのプラットフォーム争い
2013年02月18日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

先日、某有力ベンチャー企業の社長との懇親会があり、ネイティブアプリとWebのプラットフォーム争いについて意見を伺ったところ、2013年はいよいよネイティブアプリ時代に入る、という。

具体的にはiOSのAppStoreおよびAndroidのGooglePlayの存在感がますます高まる、ということを意味していたのだが、それ自体は特に反論するところはない。実際、ガンホーのパズル&ドラゴンズ(パズドラ)のように、これまでモバイルゲームの最強プラットフォームとして君臨していたGREEとmobageではなく、AppStoreとGooglePlayで月商85億ともいわれる爆発的ヒットを生んでいるアプリが登場してきている。

だが、モバイルインターネットにおけるAppStoreやGooglePlayは、僕の目には巨大な大陸のようなものであり、その目でみるかぎりWebは大海のようなものである。たしかに人々は大陸に住むが、行き来をするためには海原をわたる必要がある。つまり、アプリ間の情報共有やトラフィックをつくるにはWebが必要だ。

考えるに、車は陸上でしか使えない。船は海上でしか使えない。ゲーム――とくに激しい動きを要するゲームにおいては、いつまでたってもHTML5アプリはネイティブアプリに勝つことはできない。車を使うには陸上の道路が必要なように、ゲームにおいてはつねにネイティブアプリがHTML5アプリを押さえ続けるだろう。しかし、情報メディアやソーシャル系のサービスにおいてはWebアプリが2013年は台頭すると僕は考える。

明確に言おう。ゲームプラットフォームはネイティブアプリ化が加速し、GooglePlayがAppStoreを徐々に凌駕しつつも、双方が勢力図を広げていく。国内のGREE、mobageはiモードと同じ運命をたどる可能性がきわめて高い。いっぽうで、メディアやSNSなどの情報プラットフォームは、総括的なサービスはWebへと戻り、カメラやリアルタイムメッセージングなどの負荷の高い機能を部分的にアプリ化することで、使い勝手を高めていくと考える。

ネットベースのサービスやアプリを制作する企業は、車をつくるか船をつくるか、陸で暮らすか海に出るか、戦略的選択を迫られるだろう。


パズル&ドラゴンズ




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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