Facebookの新デザインは市場に受け入れられるか?

Facebookの新デザインは市場に受け入れられるか?
2013年03月04日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

Facebookが、3月7日にニュースフィードとタイムラインのデザインを一新するらしい。

読者の多くはFacebookユーザーであると思うが、ニュースフィードとタイムラインの違いをあまり意識していない人が多いかもしれない。簡単に言うと、ニュースフィードとは自分の友人の情報を表示させる画面であり、タイムラインは自分自身が書いた情報を表示させる画面だ。

もちろんニュースフィードに自分が書いたポストや、友人のポストに書いた自分のコメントなどが表示されることもある。だからニュースフィードとは、友人を軸(友人視点)にして自分の交友情報を閲覧する場所であり、タイムラインは逆に自分を軸(自分視点)に交友情報を閲覧する場所なのである。

このニュースフィードとタイムラインの分け方・考え方こそが、Facebookの最大の特徴だ。ブログは完全に自分視点で、寄せられたコメントを軸にして表示を切り替えることはできないし、従来のSNSの考えではブログのように自分が書いたページを見るか、逆に人のページを見るしかない。相対的に視点を切り替えて交友情報を一覧するという感覚は、Twitterが先にはじめ、Facebookに買収されたFriendFeedが完成させ、それをFacebookが普及させたといえる。

今回のFacebookの発表は、ニュースフィードとタイムラインのコンセプトに手を入れるものではないようだ。あくまでそれぞれの情報デザインを変更するということらしい。

しかし、10億人もの巨大なユーザーベッドをもつサービスにおいては、些細な変更であっても影響は大きい。Googleが検索エンジンのアルゴリズムをほんの少し変えただけでもSEO・SEM業界は大騒ぎになるし、事実FacebookがFacebookページにもタイムラインを導入したことで米国のソーシャルメディアマーケティング企業は事業性を失い、ほぼすべてのプレイヤーが身売りによって手じまいした。市場価値で言えば総計10億ドル以上のスタートアップが、短期間で消滅したのだ。

今回の仕様変更で、どのような市場や企業、あるいは一般ユーザーがどんな影響を受けるかはまだわからない。また、変更を断行するFacebook側の意図もまだ読めない。しかし、Facebookがモバイルを舞台にした新興SNSやメッセージング企業などに若年層のユーザーを奪われはじめ、成長に翳りが出ていることは周知のことであり、今回の変更はその対策のひとつであるとみてまちがいない。

だとすると、より緻密で効果的な広告を出せるようなデザインであることと、若いユーザーの関心を惹くための工夫が施されていると思われる。

はたしてFacebookの試みは成功するだろうか。そして、彼らのトラフィックやプラットフォームの上で生息するさまざまな企業への影響は? その答えはもうすぐ明らかになるだろう。


Facebook




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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