リクルート社員が語る、Webクリエイターの就職・転職最新事情

リクルート社員が語る、Webクリエイターの就職・転職最新事情
2013年05月10日
TEXT:編集部

わずか数年でHTML5やCSS3を使ったWebサイトが台頭するなど、技術の移り変わりが激しいWeb業界。必要とされるスキルも、その時々によって大きく異なります。また、Webクリエイターが活躍する現場も拡がりを見せています。では、いまWebクリエイターに必要とされているスキル、あるいはWebクリエイターを必要としている企業はどうなっているのでしょうか? Webクリエイターの就職・転職事情に詳しい株式会社リクルートキャリアの中山好彦さんに聞いてみました。



――Webクリエイターの求人ニーズはどのような状況でしょうか? また、その理由などもお教えください。

中山●2013年もWeb業界における求人ニーズは全般的に高い状態が継続しています。また、ソーシャルゲーム業界での採用ニーズも依然として高く、ゲームのコンテンツリッチ化にともない、対応可能な人材が求められています。スキルでいえばHTML5やCSS3の求人ニーズは相変わらず高いですが、それ以上にデザインスキルやコーディングスキルを幅広くもっていることが重視される傾向にあります。


――ニーズが増加している職種はなんでしょうか? また、その理由もお教えください。

中山●特にニーズが増加しているのが、UI/UX関連職種。これまではデバイス対応させるためだけの単純なスマートフォン最適化が主流でしたが、各デバイスごとにUI/UXを最適化する必要が出てきたことが要因だと思います。


――Webクリエイターが就職・転職するにあたって、これまであまり見られなかった特徴などがあれば教えてください。

中山●Web制作会社の方々が、ソーシャルゲーム業界へ転職していることが挙げられます。これまでソーシャルゲーム業界は新興産業というイメージが強かったのですが、現在はある程度落ち着き、収益力のある安定した成長産業というイメージに変わってきたことで、直接ゲームに関係ない業界の方たちも注目しているようです。

少し話がそれますが、ソーシャルゲーム業界からほかの業界へ転職する方々も増えているんです。先日、ある大手製造業の人事担当者から聞いたのですが、現在世界レベルで展開しているビデオカメラのUI/UX担当者は、ソーシャルゲーム業界からの転職者が担当しているそうです。

つまり、これまでWebクリエイターのキャリアパスはWeb業界でのWeb制作やマーケティングといった狭い領域だったものが、複数の業界をまたぐまでに拡大しているのも大きな特徴といえるでしょう。


――Webクリエイターが就職・転職するうえで、特におさえておきたいポイントはありますか?

中山●最近、企業の採用担当者から“履歴書”よりも“ポートフォリオ”を見てみたいといわれます。つまり転職希望者の経歴以上に、これまで手がけた仕事や作品を見てみたいというニーズが拡大しているんですね。企業の選考を受ける際にあわててポートフォリオを準備する転職希望者も多いのですが、最近では簡単にポートフォリオを作成できるサービスが増えてきているので、利用してみるのもひとつの手でしょう。海外では「dribbble」(http://dribbble.com/)、国内だとリクルートキャリアの「hat.io(ハットアイオー)」(https://hat.io/)などのサービスがあります。求人と連動しているポートフォリオ作成サービスも出てきていて、今後はWeb上でのポートフォリオ作成から就職・転職活動までシームレスにつながっているサービスが主流になるかもしれません。


dribbble(http://dribbble.com/


hat.io(https://hat.io/


――制作物以外で、採用担当者が就職・転職者に求めているものがあれば教えてください。

中山●基本的な話ですが、なにをしたいのかの“Will”を語れるかどうかは、とても大切だといわれます。制作物やポートフォリオも重要ですが、これは過去の“Can”の部分。自分の言葉でWillを語れるかどうかで、採用担当者はこの人にどういう“Must”をお願いしようか、と考えるわけです。


――最後に、就職・転職を考えているWebクリエイターの方々にメッセージをお願いします。

中山●今後もWebクリエイターの重要性は高まっていくでしょう。同時にキャリアパスの可能性もどんどん拡大していくと思います。キャリアパスに悩む機会も増えるでしょうが、自分はなにをしたいのか、将来どうなっていきたいのかを考えぬいて、やりたいこと、したいことに近づいていってほしいですね。


――ありがとうございました。




[プロフィール]
中山好彦●リクルートの人材採用領域の営業として約10年間IT・インターネット業界を担当。現在は新しい採用ソリューションを検討する新規事業開発とビジネスSNS「Biz-IQ(ビズアイキュー)」を兼務。

http://biz-iq.jp/o/1000031






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