レスポンシブWebデザインとフラットデザインの時代を引き寄せよう

レスポンシブWebデザインとフラットデザインの時代を引き寄せよう
2013年08月12日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

仕事柄、いろいろな企業のWebサイトを見ることが多いのだが、いまだスマートフォンに最適化していない企業が多いことにとても驚く。これがITとは関係のない中小企業ならいざしらず、モバイルソリューションやクリエイティブを主事業としているベンチャーまでが、モバイルサイトを軽視していることが多い。非常に残念である。

現在のインターネット事情は、まずPCからモバイルへとパワーシフトがあり、同時にモバイル上ではブラウザ、つまりWebからネイティブアプリによるコンピューティングが大勢を占めるようになっている。だから企業側もモバイルブラウザでの情報発信について、あまり気を配らなくなっているのかもしれない。

しかし、複数のアプリ間においてデータの移動や共有を行なうことは事実上できないから、結局Webを利用するほかない。つまり、ゲームや動画をみるようなサービスにおいては同一アプリ内で完結するかもしれないが、情報の閲覧や共有を考えると、どうしてもWebに依存しなければならないのである。

iPhone5Sは2013年9月中にリリースされると思われるが、iOS7自体のデザインはフラットデザイン、つまり凹凸が少なく、陰影もなく、比較的円形や四角いデザインが明るくはっきりしたカラーリングで表現されることに決まっている。そして、新しくなるSafariもWebサイトを表示している感じが薄れて、一度Webサイトにアクセスすると全面に表示を広げ、ブラウザを見ているというよりもアプリを開いている感覚になる。

こうなると、企業もWebサイトをよりフラットデザインに近づけたほうが具合がいいし、そもそもモバイルユーザーもブラウザを以前よりもひんぱんに使いはじめるかもしれない。

Webデザインを職とする者にとっては、今後4~10インチの画面をもつモバイルデバイスに特化したフラットデザインによるWebサイトをつくるという特需の恩恵を受けられるかもしれない。さらに、数年前のガラケー時代には、PCのデスクトップ用Webサイトとケータイ用のWebサイトをデザインもURLもわけてつくることが通常だったが、フラットデザインによるWebサイトは、基本的にレスポンシブWebデザインと相性が良いので、最初からひとつのURLで、アクセスしてくるデバイスのサイズをみて自動的に最適化することが当たり前になるかもしれない。

というよりも、Webデザインや制作を請け負う企業やクリエイターは、クライアントに対して、近い将来のトレンドを先駆けて提案していかなければならないだろう。

そのためにも、まずは自社のWebサイトを、どんなデバイスでもどんなタイミングでも最適化された状態での表示を行なっているかどうかを確認し、是正していかなければならない。


iOS7




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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