iPhone5SはApple神話に再び輝きをもたせられるか?

iPhone5SはApple神話に再び輝きをもたせられるか?
2013年08月19日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

Oracleのラリー・エリソンが、Appleファンを不安にさせる不吉な予言をしている。スティーブ・ジョブズの親友としても知られており、身びいきな発言ともとれるが「ジョブズ亡きあとのAppleは輝きを失いつつあり、未来は明るくない」とはっきり口にしているのは非常に気になるところだ。むろん、エリソンの発言は無責任な感傷からくるものだし、何度かAppleを買収しようと画策したとされる彼のことだから、ある種の無邪気な悪意といってよいかもしれない。

もっとも、僕自身も同じような発言を繰り返してきたかもしれないのだが(例 WWDC2013は成功したが、エロさが足りないApple)、それでもファンとして心からAppleを応援しているという気持ちはウソではない。

ところで、さまざまなメディアが伝えるところによると、9月10日にAppleは新製品の発表をするらしい。もちろん真偽のほどはまだわからないが、9月中であることは確実であり、ここでiPhone5Sがお披露目されることもまずまちがいないだろう。また、iPhoneの廉価版やRetinaディスプレイ搭載のiPad miniがローンチされるという噂だが、こればかりはわからない。いずれにせよ、Appleとファンがラリー・エリソンの発言を笑い飛ばせるかどうかは、iPhone5Sの完成度にかかっているといってよい。

iPhone5Sは、すでに詳細が発表されているiOS7がプリインストールされた最初のiPhoneとなる。周知のとおり、これまでiOSの開発担当役員だったスコット・フォーストールが更迭され、替わって上級副社長に昇格したクレイグ・フェデリギと、ジョブズの秘蔵っ子ともいえるジョナサン・アイブ(インダストリアルデザイン担当上級副社長)体制となって、iOSのルック&フィールは完全に刷新されている。しかし、フラットデザインを採用し、モダン化したようには見えるが、これまでのところジョブズがMac OS Xをリリースした際に「なめたくなるような」と表現したほどのセクシーさは感じられない。iPhone5Sがどのような筐体をもち、そしてiOS7がどの程度チューンアップされて登場するかはわからないが、やはり僕たちファンを身もだえさせるようなエロさを漂わせてくれるかどうかが気になるところだ。

ところで、現時点で僕がもっとも注目しているiOS7の機能は、やはり新型Safariだ。ご承知のとおり、現状のモバイルネットのトラフィックは完全にアプリ優勢で、Webつまりブラウザの存在感は薄いままだ。新Safariはこれを払拭し、Webの復権につながるかもしれないという期待がある。気になる機能は、以下の通りだ。

・ボタンやスクロールバーが隠れ、より大きくWebを見られる
・MacのSafariのように、検索窓とURLの入力部分が統合される
・無制限にタブが表示され、縦型になる、など

特にWebアプリやモバイルサイトをデザインしている身からすれば、Webサイトを全画面で表示できたり、スワイプでバックできたりすることは大きな変化だろうと思う。

iOS7に完全統合された新しい筐体をもつiPhone5Sが、Appleを再び神格化できるほどのセクシーさをもち、そしてモバイルWebの復権につながるような完成度をもっているかどうか。あと3週間あまりだが、期待をこめて発表を待ちたいものだ。


iOS7




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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