NICT、UWBを活用した高精度の屋内測位システムを開発

NICT、UWBを活用した高精度の屋内測位システムを開発

独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は、UWB(Ultra Wide Band)を利用した屋内測位システムを開発したと発表した。

UWBを利用した測位システムは、ナノ秒オーダーの非常に短いパルスの電波を用いることにより、数10cm程度の精度で位置測定することが可能だが、測定距離が短いため、測距のための固定機を多数設置しなければならないという課題があった。

今回、同機構が開発したシステムでは、1台の固定機の中に内蔵された通信モジュールを従来の1から4に増やし、時間を少しずつずらして連続して送信することにして、個々のモジュール間の送信間隔を調整・評価して合成電力を大きくすることに成功した。さらに、増強した電力を検出できる技術も開発した。これにより、測定距離を30mに増大させることで、固定機の数を減少させることが可能となった。また、利用者が携帯しやすいようにUWB移動機として、スマートフォンに連結した形状の端末や作業ポケットに入れられる小型端末も開発した。

同システムは、エリア内で位置情報を測位できるだけでなく、段差や階段の有無、道幅などの状況を考慮したルートを算出できるため、視覚障がい者の歩行支援などへの活用も期待される。同機構では同システムを利用して、ショッピングモールや物流倉庫での実証実験を実施しており、これらの実験を通して、事業者や一般ユーザーからの意見を取り入れて、利便性や機能を向上させるとともに、測位精度の向上に努めて、同システムの早期実用化に向けた研究開発を進めていく構えだ。


スマートフォンに取り付け可能な移動機


UWBを用いた屋内測位システム

発表資料
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