モバイルアプリをWeb化するアプリ内ディープリンク

モバイルアプリをWeb化するアプリ内ディープリンク

2014年09月29日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

ディープリンクとは、“あるWebページから他のWebサイトのトップページ以外の各コンテンツ(Webページ・画像等)に直接ハイパーリンクを張ること。他サイトの画像などを自サイト内に直接参照(「表示」など)させること(→直リンク)とは異なり、単にリンクアンカーによりポインタを示すのみの行為”(Wikipediaより)のことだ。

つまり、本来はWebサイトからWebサイトへのリンクの張り方をさすのだが、最近ではモバイルのネイティブアプリから、ほかのアプリケーションを起動させるためのリンク構造をさすようになってきた。

このモバイルアプリ用のディープリンクがどう役立つかというと、たとえばFacebookアプリからメッセンジャーボタンをクリックすると、Facebookメッセンジャーが立ち上がるようになっている。要するに、Facebookアプリにあるメッセンジャーボタンにはディープリンクが張られているわけだ。

通常、アプリケーション内で自分たちが提供していない外部の情報を掲載するには、Webサイトのパーマリンクを使うしかない。いま使っているアプリケーションから別のアプリケーションを立ち上げるには、いったんアプリケーションを閉じて、ホーム画面もしくはランチャー経由で別のアプリケーションを立ち上げる必要がある。

FacebookからFacebookメッセンジャーへの切り替えはこのプロセスを省き、ダイレクトにアプリケーション間の移動を実践している。もちろん、こうしたディープリンクはFacebookの専売特許ではなく、自社で開発しているアプリケーションであれば、最初からディープリンクを埋め込むことは容易だ。

しかし、たとえばYouTubeとFacebookのように提供者が異なるアプリケーション同士を結びつけるのは、提供者同士で仕様を合わせるしかない。Webのように、パーマリンクのような標準的かつオープンな仕様が存在しない以上、つねに独自開発になる。

これがモバイルアプリ同士の連携を妨げ、ユーザーの利便性を損ねていると考える人は多い。

そこで、アプリケーション間のディープリンクを標準仕様にしようと考える勢力が台頭することになる。アプリケーション同士をつなぐディープリンクの書き方を統一すれば、ユーザーはいちいちホーム画面を経由せずに、使いたいアプリケーションの使いたい機能を使えるようになる。いわばアプリケーションのWeb化だ。

このモバイルアプリのディープリンク普及がWebにとどめを刺すのか、それともすべてがWeb化して、融合する新しい未来を開くのかはわからない。しかし、その未来はそう先の話ではないのだ。


FacebookのiOSアプリ




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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