アンディ・ルービンがGoogle退職、Chrome OSの台頭に注目

アンディ・ルービンがGoogle退職、Chrome OSの台頭に注目

2014年11月4日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

GoogleのモバイルOSであるAndroidは、すでに10億人以上のユーザーを得ている。アンディ・ルービンはAndroidの開発を中心としてGoogleの技術部門担当副社長を務めている人物だったが、2013年3月にその職を解かれている。

彼はもともとAppleでも勤務したことがあるエンジニアで、Danger社というスマートフォン開発ベンチャー(Sidekickというスマートフォンで有名)を興した起業家だ。その後、OSと同名のAndroid社というベンチャーを立ち上げて「無償で世界中の携帯電話メーカーに提供するモバイルOS」づくりに取り組んだが、創業後すぐGoogleに買収された。その後の普及の驚異的な速さは、みなさんが知っているとおりだ。

そして、2014年10月末、彼はGoogleを離れて再び起業をしようとしている。

AndroidがスマートフォンOSとして世界中の携帯電話メーカーに採用されるまでには相当の紆余曲折があり、iOSを脅かす存在へと成り上がることができたのはひとえにルービンの熱意の賜物だと思うのだが、先述のとおり彼は解任されてGoogleのロボット開発部門の責任者になっていた。今回彼は独立をはたすが、どうやらロボット系のハードウエアベンチャーを目指すらしい。詳細はまだわからない。

僕は今回のアンディのGoogle離脱は、Googleにとって、いよいよChrome OSへの集中への舵きりを取るチャンスになると思っている。Googleとしては、PCもモバイルもひとつのOS、かつクラウドベースのOS(すなわちChrome OS)に統合していきたい。その目的からすると、Androidの驚異的な成長は複雑な成果であったといえる。

AppleはiCloudによって、OS統合がGoogleに先んじて進みつつあるうえ、インストール型のOS(Windowsはもちろん、Mac OS XもiOSも、Androidでさえもそうである)をベースに、データ連携をクラウドを介して行うスタイルの、パーソナルなクラウドコンピューティングを展開しはじめている。

しかし、これはGoogleが望むほんとうのクラウドコンピューティングとは違う。GoogleはChrome OSを使って、PCもモバイルも関係なく、ハードウエアに依存しないWebベースのクラウドコンピューティングを実現したいはずだ。GoogleにとってAndroidの普及はiOS対抗上ではよいが、Chrome OSへのシフトを遅らせる要因になっている。だからモバイル上でのプレゼンスが上がらない。

Googleはアンディ・ルービンが離れたあとは、思う存分Chrome OSへの、真のクラウド型OSへの執着を表に出してくると僕は思っている。






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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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