160億年で誤差1秒、「光格子時計」高精度化に成功

160億年で誤差1秒、「光格子時計」高精度化に成功


光格子時計の実験装置と概念図(科学技術振興機構の発表資料より)

科学技術振興機構、東京大学、理化学研究所などからなる光格子時計の研究グループは10日、光格子時計を低温環境で動作させることで、1秒のずれが生じるのに160億年と、世界最高の精度を実現したと発表した。この成果は、9日に発行の英国科学誌「ネイチャー・フォトニクス」に論文として掲載された。

光格子時計は、現在の「秒」を定義している原子時計の精度を1000倍近く向上させる時間標準として世界中で研究が進んでいる。今回の成果は、東京大学大学院工学系研究科の香取秀俊教授、理化学研究所香取量子計測研究室の高本将男研究員らのチームによるもので、低温環境で原子の固有の振り子の振動数を数える光格子時計を2台開発し、2台の時計の精度が一致することを実証した。この精度は、宇宙年齢138億年で1秒も狂わず、1秒のずれが生じるのに160億年かかることに相当するという。

こうした高精度な時計を応用することで、例えば、離れた場所にある2台の時計の重力による相対論的な時間の遅れを検出することで、土地の高低差を測る「相対論的な測地技術」など、さまざまな基盤技術や基礎物理学的な知見をもたらすことが期待できるとしている。

科学技術振興機構
http://www.jst.go.jp/
2015/02/10

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