ブログの復権:2015年のブログプラットフォーム(3)

ブログの復権:2015年のブログプラットフォーム(3)

2015年03月23日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

前回の記事はこちら>ブログの復権:2015年のブログプラットフォーム(1)
ブログの復権:2015年のブログプラットフォーム(2)



2015年に“ルネッサンス”を迎えると予想されるブログプラットフォームについての考察も、今回でいったん終わりだ。

インターネットの利用はPCからモバイルに主戦場を移しており、仕事以外でのインターネット利用時間のほとんどは、モバイルの狭い画面で消費される。モバイルファーストどころか、モバイルオンリー時代はすでにはじまっている。

そして現在のインターネット利用シーンは、ゲームを除けばFacebook、Twitter、Instagramなどの広範囲に情報を公開し共有するソーシャルサービスと、1対1もしくはそれに近い非常に狭い範囲でのコミュニケーションを行うためのメッセージングサービスというふたつの領域に二分されている。後者の代表はWhatsAppやLINE、Snapchatが挙げられる。前者は雑誌やテレビ、新聞といったメディアの領域に侵食しており、後者はメールやショートメッセージを(少なくとも非ビジネスでは)駆逐しつつある。

こうしたなかで「ブログプラットフォームが復権する」という主張を2回にわたり行ってきたわけだが、最後にもう少しわかりやすく整理しよう。まず前提として、ブログ的なサービスが必要なのは、前述のうち前者の領域になる。

モバイルインターネットにおいて、SEOはほとんど意味をなさない。人々は検索によって積極的に情報収集をしなくても、SNS上に流れてくる情報(+リンク)を受動的に取得するからである。あえて検索をするまでもないのだ。だからこそ、FacebookやTwitterにそれぞれコンテンツを拡散させるための箱として、テキスト、画像、動画、リンクなどを効率的に置く場所が必要になる。これが僕のいう新しいブログだ。

ブログというよりも、コンテンツ生成のためのフォーマット、といったほうがいいかもしれない。従来のブログはそれ自体をメディア化するために、当初はシンプルにテキストを書くためのツールであったのが、Webサイト自体を構築するためのCMSへと変化した。しかしいま必要なのは、1ページごと(パーマリンクごと)に適切な記事を生成する機能である。

従来のブログは、記事ごとにパーマリンクを設置しながらも、どうしてもひとつのWebサイトとして固まりをつくり、そこに読者を誘致するという発想にあったが、ここでいう新しいブログとは、ページ単位でコンテンツを配信し、どんなデバイスやサービス上で見られるかわからない、という前提で成立するものである。

LINE上で見られているかもしれない、Facebook上で見られているかもしれない、そしてページごとに見られているから、Webサイトのトップページなど一生見てくれない読者なのかもしれない、そういう前提で考えられたブログなのだ。

前々回で紹介したMediumやTumblr、特にMediumなどはそういう前提で作られたフォーマットだ。Webサイトをつくるというのはもはや古くて、コンテンツそのものをつくり配信するという、より細かい粒度での話なのである。




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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