「Kickstarter」で見つけた注目のデザインアイテム

「Kickstarter」で見つけた注目のデザインアイテム

2015年6月2日
TEXT:草野恵子


LUNATIK Epik for Apple Watch

2000年代に入ってから海外を中心に大きな盛り上がりを見せ、ここ数年は日本でも同様のサービスが次々と生まれているクラウドファンディング。インターネットを通じて不特定多数の人から小口投資を募り、クリエイターや企業が資金調達を行なうシステムだ。中でも圧倒的な支援者数、支援金額、知名度を誇るのが2009年からスタートした「Kickstarter(キックスターター)」である。e-Inkを使ったスマートウォッチ「Pebble」(https://getpebble.com/)、ニール・ヤングの設立したPonoMusicのデジタルミュージックプレーヤー「Pono」(https://www.ponomusic.com/)をはじめ、世界規模で話題を集めたプロジェクトも数多い。最近では、本のような形の充電式LEDライト「Lumosf(ルミオスエフ)」(http://www.arktrading.jp/lumiosf/)が見事資金調達に成功して商品化され、国内のメディアでも大きく取り上げられたのは記憶に新しいところ。今回は、そんな「KickStarter」のプロジェクトから、特にデザイン面において注目すべき新着プロジェクトをピックアップしてみよう。

■LUNATIK Epik for Apple WatchAppleWatch(42mm用)保護ケース


LUNATIK Epik for Apple Watch

徐々に街中で目にすることが増えてきたApple Watch。iPhoneユーザーにはたまらなく便利なこのデジタルガジェットを、アウトドアなど、よりタフな状況で使うための保護ケースが「LUNATIK Epik」だ。見るからに頑丈そうなLUNATIK Epik、左右からAppleWatch(42mm)本体をサンドイッチする2ピース構造となっている。鍛造アルミニウム製のシェルは内部に衝撃を和らげる構造を有し、大きく盛り上がったベゼルも側面を保護するデザイン。Apple Watchを象徴するユーザーインターフェイス「Digital Crown」も、もちろん使用できる。しかも、LUNATIK Epikを装着することでひと回り大型化されるので、屋外などの活動時にグローブなどを着けた状態でも良好な操作性が保たれるという。ハードに使いたい人はもちろん、AppleWatchを人と違った存在感のあるデザインに変貌させたい!という方には魅力的なアイテムだ。このプロジェクトは5月31日の時点で目標額の10万ドルを大きく越え、184,131ドルの出資を取り付けた。価格帯は100ドルからで、発送は2015年9月となる見込みだ。

■Tableau : Automatic House Plant Watering Tray自然に学んだ自動植物水やり装置


Tableau : Automatic House Plant Watering Tray

多くの人に緑のある生活を送ってほしい――そのために、もっと手軽に植物を育てることができるシステムを実現したい。そんな想いでデンマークのデザイナーによって立ち上げられたPikaplant社が企画した、電力を使わない自動水やり装置が「Tableau」だ。台座、3つの陶器製ポット(鉢)、ガラス製のリザーバータンクから構成されており、台座には吸水性のあるファブリックがセットされ、タンクから供給された水分を蓄える。ポットの底には穴が開けられており、ここから内部の土壌に水分が供給され、植物はそこから水を吸い上げる。ファブリックはつねに水分を蓄えているわけではなく、タンクに備えられたバルブの動作によっていったん乾いたのち、時間を空けて再び水分が供給される。そう、まさに自然の土と樹木の営みが再現されているのだ。写真で紹介されているような植物であれば1カ月程度の水やりを一度の給水で賄うことが可能。このプロジェクトは、6月1日に終了。目標額の8万ユーロを上回る90,246ユーロの資金調達に成功した。

■WELLY Bottle: Filtered Water On The Go.どこでも濾過された水を飲めるボトル


WELLY Bottle: Filtered Water On The Go.

使い捨てのペットボトルではなくウオーターボトルを使おう!というエコ・フレンドリーなプロジェクトが「WELLY Bottle」だ。ワンタッチで開けられる保護キャップ付き飲み口、氷を入れるのも容易な大型の開口部、持ち運びに便利なフィンガーループなどを備える。本体はココナッツの殻からつくられた濾過フィルターを装着することで、どこでもきれいな水を手に入れることができるという。本体はBPA(いわゆる環境ホルモンとよばれる内分泌かく乱物質)を含まない素材でつくられており、安全面にも配慮。印象的なのは、側面の竹製のパネルだ。デザイン面のアクセントになっているのはもちろん、ボトルをスクイーズしやすくする機能もあわせもつ。竹という素材が選ばれたのは、その丈夫さ・ナチュラルな風合いの魅力はもちろん、もっとも成長の早い植物であり環境負荷が低いという理由から。このプロジェクトは、5月31日の時点で目標額の5万ドルを上回る51,138ドルの出資を取り付けている。

■Polar Ice Tray: The Perfect Ice for the Perfect Drink!クリアな球状の氷メーカー


Polar Ice Tray: The Perfect Ice For The Perfect Drink.

バーなどで目にする、透明度の高い氷の美しさに思わず感動したことはないだろうか? いわゆるアイスキューブに比べて表面積が小さい球状の氷は、ゆっくり溶けて飲み物の味を損ないにくいので、オンザロックなどでよく使われている。「Polar Ice Tray」は、その氷を普通の冷蔵庫でも簡単につくれる道具だ。通常、冷凍庫で氷をつくるプロセスでは内部に空気などが閉じ込められるために氷が濁ってしまうのだが、この「Polar Ice Tray」は特殊な二重容器によって氷結の進行をコントロール。上部から下部に向けて徐々に凍らせることで透明な氷の層を形成させる。出来上がる氷は直径6cm。Kickstarterに掲載された使用例では、果物や花を入れた状態で凍らせ、見事なまでに芸術的な氷をつくる様子も紹介されている。アイデア次第でいろいろと活用できそうなアイテムだ。このプロジェクトは25ドル~とトライしやすい価格設定ということもあり、5月31日の時点で、すでに目標額の1万ドルを上回る33,195ドルの出資を取り付けている。

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