6月16日は和菓子の日!青色の餡からデザイナーズ羊羹まで進化を続ける和菓子の世界

6月16日は和菓子の日!青色の餡からデザイナーズ羊羹まで進化を続ける和菓子の世界

2015年06月16日
TEXT:編集部


グエナエル・ニコラ氏が手掛けた「とらや」の羊羹。扇状に広がったスティックタイプの一口羊羹で、気楽につまめるため、立食パーティなどにも適している。

6月16日は、全国和菓子協会によって「和菓子の日」に制定されている。西暦848年の夏に、仁明天皇が御神託にもとづいて16にちなんだ菓子や餅などを神前に供え、疫病除けや健康招福を祈誓して、元号を「嘉祥」に改めたことを起源とする記念日だ。味はもちろん、芸術的な側面から“目でも味わえる”和菓子は、日本が誇るべき美しい伝統。その歴史的な魅力を大切に受け継ぎつつ、現代では時代の変化に合わせてさまざまな商品/サービスを提供する試みが行われている。

クリエイターとのコラボで生まれた「とらや」の現代的な羊羹
人気ブランド「とらや」(https://www.toraya-group.co.jp/)では、今年4月から東京ミッドタウン店内ギャラリーで、ifs未来研究所が企画協力した展示「“みらい”の羊羹〜わくわくシェアする羊羹〜」を開催し、大きな話題を呼んでいる。この企画では、テキスタイルデザイナーの須藤玲子氏、建築/インテリア/プロダクトなど幅広いデザインを手掛けるグエナエル・ニコラ氏、株式会社キギ主宰のアートディレクター渡邉良重氏と、3名のクリエイターとのコラボレーションを実現。「ちょっと未来の、和菓子のある暮らし」を思い描きながら、新たな羊羹が作り上げられた。いずれも従来の羊羹とは一線を画する斬新で美しい仕上がり。2015年8月3日(月)まで開催されている企画展では、食べるシーンの提案とともに、それぞれの羊羹が紹介されている。


「“みらい”の羊羹〜わくわくシェアする羊羹〜」
会場:とらや 東京ミッドタウン店内 ギャラリー
(東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア地下1F)
会期:2015年4月1日(水)〜8月3日(月)
時間:11:00〜21:00(店舗営業時間と同じ)


須藤玲子氏が手掛けた羊羹で、テーマは「縞=SHIMA」。切り分けるとモダンでグラフィカルな柄が現れ、並べて多彩な表情を演出することもでき、その光景を皆でワイワイ楽しみながら味わえる。


渡邉良重氏が手掛けた透明な羊羹は、カラフルなパーツ入り。切り分ける場所によって、異なる絵柄が現れる。“物語を連想させる絵柄”が手前と奥で重なって見えるため、想像を巡らせて会話も弾む。

なお、グエナエル・ニコラ氏がデザインした「SUEHIROGARI」の紅白/緑黒は、6月28日(日)/7月18日(土)/8月1日(土)に東京ミッドタウン店で限定販売されることが決定した。販売開始時刻は12:00で、各1箱(8本入り)が税込3240円。各日それぞれ10箱限定で販売される。

オリジナル和菓子の制作も受け付けている甘納豆の老舗「雪華堂」
「雪華堂」(http://www.sekkado.co.jp/)も、味と美しさを兼ね備えた和菓子を提供している銘店だ。1879年(明治12年)創業の老舗で、豆本来の風味を保ちつつ丹精に仕上げられている甘納豆などが魅力。絶妙な職人技による「半生あまなっとう」は表面が柔らかくしっとりとした甘納豆で、直営店は都内に7店舗あり、家庭用/御進物としても高い評価を得ている。「七福どら焼」も、こだわりの甘納豆入りの商品。5個詰め合わせで税込1080円(送料別)で販売されており、七福神に見立てた縁起の良い7種が素材に用いられている(http://item.rakuten.co.jp/amanatto/7fukudora-5/)。


甘納豆にこだわりのある「雪華堂」ならではの「七福どら焼」。注文時には気持ちを伝えるメッセージ掛紙も、デザイン4種(メッセージ自由)から選べる。

この「雪華堂」は、さまざまな匠の技術を創作菓子へと活かしているところも魅力。特別なサービスとして「オリジナル和菓子」の制作注文を受け付けていることにも要注目だ。このサービスは、好きな材料/アレルギーの有無/デザインなどの要望を提出して、「雪華堂」のスタッフに特別な和菓子を作成してもらえるもの。どら焼き/万頭/上生菓子/焼印/名入れ饅頭/オーダーメイドどら焼きがラインナップされている。イメージをラフで送った場合には、それをもとに「雪華堂」スタッフがイメージを損なわないように最終的なデザインを描き、綿密な確認を経て制作が進められる。特別な記念日などにピッタリの商品で、“ものづくり”が好きなクリエイターの心もくすぐられるサービスと言えるだろう。


「オリジナル和菓子」サービスを紹介している「雪華堂」のWebサイト画面。制作期間は2週間ほどで、注文が混み合っていない時期であれば制作の短縮も相談できるなど、柔軟に対応してもらえる。

斬新なビジュアルで既成の概念を覆す商品も続々と登場
このほかにも、視覚面で意欲的な試みが行われた商品は続々と登場している。大阪の「茜丸本舗本店」(http://www.akanemaru.co.jp/)で発売された「ラムネあんどら焼き」も、画期的な商品の1つだ。同社は創業75年になる老舗のどら焼き店で、餡メーカーということもあり餡にこだわった商品開発を得意としている。通常は餡と言えば小豆の赤褐色であるが、この商品に用いられている「爽快ラムネあん」はインパクト絶大なブルースカイ色。通常、寒色は食品には避けられやすいものだが、チャレンジ精神にあふれた本商品は巷で大きな反響を呼んでいる。ラムネ味をクエン酸の酸味料で再現しており、冷やして美味しい新感覚の商品だ。


季節限定/本店限定として6月より発売された「ラムネあんどら焼き」。「茜丸」では多様な季節感ある餡を製造しており、本商品には5月に発売された青色の「爽快ラムネあん」が使用されている。

さらに、千里阪急ホテル(http://www.hankyu-hotel.com/hotel/senrihh/)とホテル阪急エキスポパーク(http://www.hankyu-hotel.com/hotel/hhexpopark/)で8月31日(月)まで限定販売中の「みたらしDANGO」も話題となっている。一見すると和菓子の団子だが、実はクリームチーズムースを醤油ダレのゼリーで包んだ“和スイーツ”。パティシエの窪田秀樹氏による新作で、見た目から想像される“思い込み”の味とのギャップを楽しめるサプライズ商品だ。伝統的なセオリーの踏襲と、インパクトを出す斬新な仕掛けのバランスが求められるデザインの世界と同様に、和菓子やスイーツの分野でも、さまざまな見た目に関する工夫が発見できる。


サプライズを楽しめる「みたらしDANGO」。大阪府豊中市の千里阪急ホテル1F「シャガール・ケーキショップ」と、大阪府吹田市のホテル阪急エキスポパーク1F「フォンテ」で購入できる。税込350円。

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