音楽ストリーミング三国志は、iOSと新型iPod touchによりApple Musicが有利か

音楽ストリーミング三国志は、iOSと新型iPod touchによりApple Musicが有利か

2015年07月21日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)



急速に盛り上がってきた国内の音楽ストリーミング市場で、先鞭をつけたのはAWA。AWAを運営するのは、大手音楽レーベルのエイベックス・デジタルとサイバーエージェントの共同出資による新会社だ。2015年末までに約500万曲、2016年末までに1000万曲の提供を見込んでいるという。

続いたのはLINE。LINE MUSICは現段階で150万曲を擁し、先日より人気モデルの小松菜奈を起用したプロモーション展開をはじめた。

AWAもLINE MUSICも、サービス開始からほどなくして100万ダウンロード突破をはたしている。

そして、真打として登場したのがApple Musicだ。Appleは洋楽を中心に数百万曲を擁し、さらに3カ月間無料というプロモーションに出た。

CDの売り上げが縮小していくなかで、楽曲ダウンロードビジネスはなかなか盛り上がりをみせない。だからこそストリーミングビジネスへの転換が加速するわけだが、僕は客観的にみて最終的にApple Musicが勝利を収めると思う。更地からアプリをダウンロードさせねばならないAWAよりも、LINEユーザーにアピールできるLINE MUSICは強いし、専用アプリではなくOSレベルでサービスを提供できるApple Musicはさらに強い。結局、プラットフォームの広大さが勝負をつけることになるだろう。

そして、Appleが有利なのはiPhoneという強力なプラットフォームを有しており、iOSを8.4以上にさえすれば誰でもApple Musicを試せるということだが、逆にAndroidユーザーに対しては9月以降までサービスを提供できない。

そこでAppleはiOS 8.4に最適化したiPod touchを急遽リリースし、Androidユーザーに対しても手の届くところにApple Musicを置く。秋にはAndroid版Apple Musicが出るにしても事前に選択肢を与えることができるし、新型iPod touchはカメラにしてもCPUにしても、モバイルゲームデバイスとしてもiPhone 6とほぼ同等の性能をもち、Androidユーザーにアピールできるだけの製品となった。

これらを鑑みると総合的にみて、Apple Musicの優位は動かないと見るのである。




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[筆者プロフィール]
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)、『仕事で使える!「Twitter」超入門』(青春出版社)、『ソーシャルメディアマーケティング』(ソフトバンククリエイティブ/共著)などがある。
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