Windows 95から20年―Windows 10は次の20年をどう変えるのか
Windows 95から20年―Windows 10は次の20年をどう変えるのか
2015年08月03日
TEXT：小川 浩（シリアルアントレプレナー）
TEXT：小川 浩（シリアルアントレプレナー）
2年ぶりにMicrosoftがリリースした新OS、Windows 10。出だしは好調なようだ。モバイル・タブレットの領域ではGoogleやAppleに後塵を拝したままのMicrosoftは、20年前にWindows95が成し遂げたような大革新を実現できるだろうか？
1995年は、PC業界やインターネット業界における歴史的なターニングポイントであった。Microsoftが最新OSのWindows 95を発売し、先行していたMac OSに完全に追いついたのだ。PCは普及台数からすればすでにAppleを凌駕していたが、OSそのものの完成度からすれば、洗練されたMac OSと比べると、Windows 95以前のWindows 3.1はいかにも野暮ったかった。
1995年は、PC業界やインターネット業界における歴史的なターニングポイントであった。Microsoftが最新OSのWindows 95を発売し、先行していたMac OSに完全に追いついたのだ。PCは普及台数からすればすでにAppleを凌駕していたが、OSそのものの完成度からすれば、洗練されたMac OSと比べると、Windows 95以前のWindows 3.1はいかにも野暮ったかった。
Windows 95は爆発的に売れた。その後「Macユーザーは変わり者」「Macは使いにくい」というようなPCユーザーが増え、名実ともにWindowsがPC業界の盟主になったのである。
当時僕はマレーシアの首都クアラルンプールに住んでいたので、日本の大フィーバーを目の当たりにはしていないのだが、GUIを備え、イントラネットやインターネット接続を前提としたさまざまな機能が搭載されたモダンOSの登場に、多くのPCユーザーたちが真夜中から店頭に行列をつくった様子は記憶に新しい。
新しいとはいいつつ、あれから実に20年が経過した。インターネット業界ではドッグイヤーというように、通常の1年が7年相当のスピードで変化するといわれる。実際20年で、OSの提供方法は、CDパッケージからインターネット越しのダウンロードへと変化した。というか、OS自体がいまや無料で手に入る、無償ソフトウエアに変わった。
そう、最新のWindows 10は、Windows 8.1/8/7ユーザーなら、無償アップグレードが可能（ただしリリース後1年間）。つまりタダ、なのである。ほかのOSは、すでに無償化されて久しい。最初から無償で提供されているAndroidはもちろんだが、Mac OS Xもまた無料でダウンロードできる。だからこの点については、Windows 10は先行するOSに追いついたにすぎない。ではほかの点ではどうか？
まずマルチデバイスOSかどうか、という点で見ると、Windows 10はMicrosoft初の共通プラットフォーム（Microsoftは“One Windows”と呼んでいる）である。つまり、タブレットでもモバイルでも、PCでも、Xboxでさえも、すべてWindows 10が動作する。
これはAndroidは同じであるが、Appleの場合Mac OSはMac専用モバイル・タブレット用にはiOSを用意している。もちろんiOSはMac OS Xをベースにつくられているし、両者は徐々に操作方法が接近し、いずれひとつのOS、ひとつのプラットフォームになると思われるが、現状は異なる。
ただしPCのOSとしてはAndroidの完成度は低く、モバイルには十分だがPCには不十分という立ち位置であり、AppleもまたiOSをMacに適用するのではなく、Mac OSへ徐々にiOSの要素を取り込むことで段階的な進化を遂げようとしている。だからWindows 10は、すべてのプラットフォームの同等の完成度を実現できれば、先行する二者を押さえ込むことが可能かもしれない。
逆にいうと、Microsoftとしては、PC、スマートフォン、タブレット、そしてゲーム機器や自動車、家（スマートハウス）、そのほかの社会的インフラとなる電子機器すべてのOSの座を狙うことで、縮小するPC市場と劣勢のまま拡大するモバイル市場を包含する、より大きなコンピューティングプラットフォームを押さえる戦略に出ようとしているである。
Windows 95が登場してから20年。PCからモバイルへのパワーシフトの中で、MicrosoftはOS戦争での敗北を意識せざるを得ない状況に陥った。そして次の20年は、OSを必要とする電子機器の種類が急拡大していく世界で、改めてすべてのプラットフォームを制する戦略を取ろうとしている。1995～2015年の20年より、さらに大きな変化が起きようとしているわけだ。その変化という波に、Microsoftは乗れるのか。奇しくもAppleを救ったMac OS Xと同じ響きをもつWindows 10は、Microsoftを立て直すことができるのだろうか。注目したい。
当時僕はマレーシアの首都クアラルンプールに住んでいたので、日本の大フィーバーを目の当たりにはしていないのだが、GUIを備え、イントラネットやインターネット接続を前提としたさまざまな機能が搭載されたモダンOSの登場に、多くのPCユーザーたちが真夜中から店頭に行列をつくった様子は記憶に新しい。
新しいとはいいつつ、あれから実に20年が経過した。インターネット業界ではドッグイヤーというように、通常の1年が7年相当のスピードで変化するといわれる。実際20年で、OSの提供方法は、CDパッケージからインターネット越しのダウンロードへと変化した。というか、OS自体がいまや無料で手に入る、無償ソフトウエアに変わった。
そう、最新のWindows 10は、Windows 8.1/8/7ユーザーなら、無償アップグレードが可能（ただしリリース後1年間）。つまりタダ、なのである。ほかのOSは、すでに無償化されて久しい。最初から無償で提供されているAndroidはもちろんだが、Mac OS Xもまた無料でダウンロードできる。だからこの点については、Windows 10は先行するOSに追いついたにすぎない。ではほかの点ではどうか？
まずマルチデバイスOSかどうか、という点で見ると、Windows 10はMicrosoft初の共通プラットフォーム（Microsoftは“One Windows”と呼んでいる）である。つまり、タブレットでもモバイルでも、PCでも、Xboxでさえも、すべてWindows 10が動作する。
これはAndroidは同じであるが、Appleの場合Mac OSはMac専用モバイル・タブレット用にはiOSを用意している。もちろんiOSはMac OS Xをベースにつくられているし、両者は徐々に操作方法が接近し、いずれひとつのOS、ひとつのプラットフォームになると思われるが、現状は異なる。
ただしPCのOSとしてはAndroidの完成度は低く、モバイルには十分だがPCには不十分という立ち位置であり、AppleもまたiOSをMacに適用するのではなく、Mac OSへ徐々にiOSの要素を取り込むことで段階的な進化を遂げようとしている。だからWindows 10は、すべてのプラットフォームの同等の完成度を実現できれば、先行する二者を押さえ込むことが可能かもしれない。
逆にいうと、Microsoftとしては、PC、スマートフォン、タブレット、そしてゲーム機器や自動車、家（スマートハウス）、そのほかの社会的インフラとなる電子機器すべてのOSの座を狙うことで、縮小するPC市場と劣勢のまま拡大するモバイル市場を包含する、より大きなコンピューティングプラットフォームを押さえる戦略に出ようとしているである。
Windows 95が登場してから20年。PCからモバイルへのパワーシフトの中で、MicrosoftはOS戦争での敗北を意識せざるを得ない状況に陥った。そして次の20年は、OSを必要とする電子機器の種類が急拡大していく世界で、改めてすべてのプラットフォームを制する戦略を取ろうとしている。1995～2015年の20年より、さらに大きな変化が起きようとしているわけだ。その変化という波に、Microsoftは乗れるのか。奇しくもAppleを救ったMac OS Xと同じ響きをもつWindows 10は、Microsoftを立て直すことができるのだろうか。注目したい。
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［筆者プロフィール］
おがわ・ひろ●シリアルアントレプレナー。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ（毎日コミュニケーションズ）、『Web2.0BOOK』（インプレス）、『仕事で使える!「Twitter」超入門』（青春出版社）、『ソーシャルメディアマーケティング』（ソフトバンククリエイティブ／共著）などがある。
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