広がりを見せるネイティブ広告のルールと今後の課題

広がりを見せるネイティブ広告のルールと今後の課題



2016年1月8日
TEXT:編集部

2015年は、デジタルマーケティングの領域において、非常に活発に動いた一年だったと言えるだろう。特に従来のインターネット広告とは違う形である「ネイティブ広告」の国内の利用も一時期加速したが、その一方で、ネイティブ広告という形態に疑問の声も上がったことも記憶に新しい。海外ではネイティブ広告の規定が定められるようになってきたが、現状の日本では法的な拘束力の強い規定がないため、この問題の着地点も見えてこない。ただ今後の流れとして、日本も海外のように適切な表記を求める流れにはなってきている。そこで本日は、Webデザインなどネット上のデザインに携わる場合、どのようなことに注意すべきなのだろうか。ネイティブ広告のルールと今後について紹介する。


■そもそもネイティブ広告とは?


インターネットでWebサイトを閲覧していて、突然広告などがポップとして表示されるとストレスと感じることもあるだろう。ネイティブ広告とは、本来そういった広告によるストレスを軽減するために用いられるようになった手法で、サイト上の構成やデザインに、より馴染むようにして作られた広告のことである。身近な例で言うと、インターネット上の検索をかけたときに表示されるPRという部分のURL広告や、さまざまな記事を配信しているサイトに記事のようにして配置されている広告などが挙げられる。


■なぜネイティブ広告なのか?


そこで、なぜネイティブ広告というものが現れたのかというと、ユーザーに対する広告によるストレスの軽減もあるが、ネット上などでの広告収入の減少が背景にあった。やはりあからさまな広告が表示されると、よっぽど魅力を感じたものでない限り、クリックすることもないだろうし、ストレスも感じるだろう。ネイティブ広告は、そういう点では他のコンテンツとより馴染んでおり、ストレスを感じにくいつくりになっているのだ。このように、ユーザーによるストレスの軽減を狙うことで、自動的に広告収入の減少を食い止める施策として打ち出された背景がある。


■では、ネイティブ広告のルールとは何だろう


ネイティブ広告は、サイトに馴染めば何でもよいという訳ではない。やはり広告として掲載している以上、一定のルールがあることを忘れてはならない。例えば、ユーザー側が意図しない広告の誘導に合わないためにも、広告と分かるような表記はしなくてはならないというものだ。実は、ネイティブ広告が導入された当時は、この広告としての表記の点が曖昧であった。しかしステルスマーケティング、つまり故意に広告と分からないように掲載しているのではないかという批判の声に押されて、徐々に正しいルールが浸透しつつある。例えば2015年3月には、JIAAがネイティブ広告の推奨基準を発表しているし、2015年5月にはノンクレジットのグレーな表記をしていたとして謝罪もリリースされている。

また、ネイティブ広告でよく問題視されているのが、ノンクレジットの問題だ。導入当初の、ネイティブ広告はサイトなどに馴染んだ広告という部分が、広告に見えない広告という誤った解釈によりノンクレジットというグレーな表記が広がってしまった。ノンクレジットとは、「PR」や「広告」などの表示がなく、普通の記事などと馴染むと広告と判断しづらいもののことを指す。このようなノンクレジットが一般化してしまうと、ユーザーが意図しない広告を見ることになるなどトラブルのもとにもなってしまうのだ。


■ネイティブ広告の課題


そして、今後の課題として挙げられるのが、クレジット表記の徹底と広告に対するネガティブな感情の払拭だ。広告と分かるようにすることはルールとしてもちろんのことだが、ネイティブ広告の特徴を活かしたストレスの少ない自然に馴染む広告が理想とされる。サイトなどに組み込まれるという広告の特徴上、少なくともデザインを担当するWebデザイン関連などにも関わってくる問題だ。今後、ネイティブ広告を扱う際は、クレジット表記に注意しながら、よりなじみやすいデザインを考案する必要がある。

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