旧バージョンのニーズ多すぎ?デザイン・印刷現場のAdobeアプリ調査

旧バージョンのニーズ多すぎ?デザイン・印刷現場のAdobeアプリ調査

吉田印刷所(新潟県五泉市)は7日、デザイン・印刷関係のAdobeユーザーを対象に実施した、「Adobeのデザイン用アプリで使用しているバージョン」「Creative Cloud関連サービス」についてのアンケート結果を公開。約65%がAdobe Creative Cloud(以下、Adobe CC)を導入するなど、普及は大きく進んでいるが、Illustrator、InDesignは、7割近くのユーザーが複数のバージョンを併用しており、CCへ完全移行しているわけではない実情も見えてくる。


◆Adobe CCの利用者は6割以上に


Adobe CCの利用割合

調査はDTP・デザイン・印刷関係のAdobeユーザーを対象に、2016年3月に実施し、147名から回答を得た。同社が半年前の2015年9月に実施した調査では、Adobe CCの利用割合は50.4%(回答者数302名)と、半数程度だったが、今回の調査では、Adobe CCを導入しているユーザーは64.6%と、半数を大きく超えた。

また、デザイン・印刷向けの主力アプリであるIllustrator・InDesign・Photoshopについては、いずれも最新版のCC 2015をメインに使用しているユーザーが一番多かった。デザイン・DTP分野においても、Adobe CCの普及が急速に進んでいることが読み取れる。

◆Illustrator・InDesignの使用状況から見える「現場の実情」
ところが、それらの主力アプリのなかで、Illustratorは71.4%、InDesignは68%のユーザーが、複数のバージョンを使い分けていると回答。しかも、過去バージョンはいすれのアプリも、CS3からCC 2014まで、実に幅広いバージョンを使用していることがわかった。


Illustratorの使用バージョンについて(単独使用/併用の割合)


複数併用しているIllustratorのバージョン


InDesignの使用バージョンについて(単独使用/併用の割合)


複数併用しているInDesignのバージョン

Adobe CCを導入すれば、常に最新バージョンが使えるだけでなく、CS6までダウングレードして使用することもできる。旧バージョンでもCS6以降であればでAdobe CCで対応可能なのだが、CS5.5以前の案件に対応するために、それぞれのバージョンも残しているユーザーが多いということがわかる。


Photoshopの使用バージョンについて(単独使用/併用の割合)

一方、Photoshopの場合は、バージョン間のデータ互換性が高く、運用しやすいということもあって、CCへの移行が比較的進んでいるとみられる。

だが、Illustrator・InDesignの場合は、デザイナー、クライアント、印刷所などの間で使用するアプリのバージョンを統一しておく必要がある。そのため、データ運用に関わる全てのユーザーが最新版に移行していなければ、旧バージョンを使わざるを得ない実情が伺える。

また、過去バージョンで作成したデータを利用するような案件で、最新バージョンのアプリとの互換性の問題から、旧バージョンを使う…といったケースが少なくないことも想像できる。


旧バージョンのInDesign CS5 

このことは、同調査が報告しているように、「ユーザーにとっての大きな負担になっている」という状況が考えられるが、一方で、印刷物などのグラフィックデザインでは、映像やCGなどの分野と違って、アプリの最新機能を積極的に取り入れていかなくても、一定のクオリティを保った成果物を作ることは可能、という側面もある。
まだまだ、「旧バージョンの機能でも仕事に支障はない」と認識しているユーザーも少なくないのではないか?とも考えられるのだ。

■吉田印刷所
http://blog.ddc.co.jp/mt/news/archives/20160407-100000.html
2016/04/08

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