AppleがF1を買収?再び革命を起こすため市場に描いた未来と現実

AppleがF1を買収?再び革命を起こすため市場に描いた未来と現実

2016年7月28日
TEXT:大谷和利(テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー)

・F1市場は有望?

たとえば、もう40年も前のことになるが、高校時代の筆者はF1に興味を持っていた。しかし、今では、そのEV(電気自動車)版ともいえるフォーミュラEのほうが、パワーやスピードが劣っていても、見ていて面白く、爆音とも排気ガスとも無縁のレースに未来を感じている。

かつてF1は走る実験室とも呼ばれ、自動車メーカーの中にも、ここで培った技術を市販車に応用するという触れ込みで参戦した企業があった。現在もその傾向がないわけではなく、2014年のレギュレーション変更によって制約付きながらF1カーのエンジンをハイブリッド化できるようになったことで、ホンダがレース復帰を決めている。

だが、市販車の世界でもハイブリッドは過渡的な技術との見方があり、将来を考えれば、フォーミュラEのほうが、タイヤなども市販車を意識した仕様で、実験室的な目的にマッチしている(ただし、現時点でのフォーミュラEは、シーズン2以降、マシン構成の自由度が多少上がったものの、メカ的にはなるべくイコール・コンディションにして、ドライバーの技術や力量を際立たせる方向にあるため、自動車メーカーが参戦しても差が生まれにくい状況にある)。

そんな中で、内燃機関による究極的なレースを実現したF1は、社会環境の変化もあって、このままでは進化の袋小路となる可能性すら生じている。

かといって、F1自体をEV化するようなドラスティックな改革は、かえって熱心なファンからの非難や反発を呼びかねない。今は人気コンテンツでも、現運営組織にとっては、次の一手をどうすべきかが悩ましい部分もあるわけだ。


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