中小企業の高度な技術や特殊な素材をデザインの力で新しいビジネスに!「東京ビジネスデザインアワード」が募集開始

中小企業の高度な技術や特殊な素材をデザインの力で新しいビジネスに!「東京ビジネスデザインアワード」が募集開始


2016年度「東京ビジネスデザインアワード」

2016年8月17日(水)より、2016年度「東京ビジネスデザインアワード」にて、デザイナーからのデザイン提案の応募受付が開始された。この「東京ビジネスデザインアワード」は、東京都が主催し、公益財団法人日本デザイン振興会が企画と運営を行うコンペティション。本年度で第5回目の開催となり、事前にコンペティションのテーマとなる中小企業の「高い技術」や「特殊な素材」が募集された。その公募を経て11件のテーマが設定されており、参加希望のデザイナーは任意のテーマを選んで、“デザインの力”を連動させた商品・用途開発案を企画書として提出する。

応募期間は2016年11月4日(金)まで。表紙として添付する3枚の応募用紙と、表紙を除いて5枚までの企画書を、4MB以下の1つのPDF(A4横サイズ)にまとめて提出する。企画書では、デザイン画やスケッチだけでなく、選んだテーマの新たな用途開発などを軸としたビジネスの全体案を明快に示すことが必要だ。応募点数に上限はなく、複数テーマへの応募も認められている。

デザイナーとの協働を目指す東京都内中小企業からの公募で選定された11のテーマは、いずれも斬新なものばかり。参加デザイナーは、その技術や素材に含まれる新たな用途や可能性をデザインの観点から見出して、事業案として提出する。テーマの一例として、株式会社コスモテック(立川市)の「特殊肌用転写シール」は、水を使わずに簡単に貼れる感圧型の転写シール。シルクスクリーン印刷のため、自由なデザインが可能だ。擦りや水に強く、自由な伸縮で肌にしっかりと貼り付きつつも、糊残りなく剥がしやすい。その特長を活かし、技術ブランディングやマーケティングのデザイン提案が期待されている。


株式会社コスモテック(立川市)の「特殊肌用転写シール」。水を使わずに簡単に貼れるのが特徴


シルクスクリーン印刷で自由なデザインを実現することが可能


このテーマでは、デザインで付加価値を高めることで、海外に向けての広い展開も視野に入れている

もう1つの例として、株式会社日光プロセス(墨田区)による「リアルシート出力技術」も興味深いテーマだ。これは、凹凸のある素材も忠実に読み取れる高性能スキャナで画像を取り込み、UVインクジェットで出力することで、まるで実物のような表現を行える印刷技術。海外では博物館や美術館でも活用されており、紙だけでなく金属や木材などの素材にも印刷できる。複数の画像を自然につなぎ合わせて、壁紙のような大きなシートを作成することも可能。幅広い活用方法が想定される技術だが、印刷コストが比較的に高いため、コストに見合ったデザイン提案が求められているテーマだ。


株式会社日光プロセス(墨田区)の「リアルシート出力技術」。左は本技術で活用されているリアルスキャナによる画像で、右は一般的なデジタルカメラによる撮影画像


リアルスキャナで凹凸のある素材にも対応し、忠実に読み取ることができる


写真だけでは表現できない繊細な素材感を表現でき、まるで実物のような印刷の仕上がり

これらのほかには、株式会社丸和製作所(昭島市)の「老舗板金技術」、筑波鉄工株式会社(大田区)の「パイプ加工・板金技術」、細田木材工業株式会社(江東区)の「木材加工技術」、ホットマン株式会社(青梅市)による抜群の吸水性が特長の「1秒タオル」、有限会社三陽工芸(あきる野市)の「透明導光パネルとダブルイメージ印刷」、株式会社星共社(文京区)によるブックデザインでもお馴染みの「三方金・三方銀付加工」、稲元マーク株式会社(江東区)の「精巧なプレス絞りと旋盤切削の複合加工技術」、プロモツール株式会社(文京区)の「ウェアラブル放香技術」、有限会社伸栄プラスチック(八王子市)の「フロッキー加工」が、本コンペティションのテーマに選定されている。どれもデザイナーの腕によってビジネスの可能性が広がりそうなワクワクするテーマばかりと言えるだろう。募集にあたっては、テーマ選定企業に関する説明会や現場視察などの機会も設けられる。

「東京ビジネスデザインアワード」は、地方自治体や金融機関などからも注目が集まっており、デザイナーにとっても今後の可能性を広げる絶好のチャンスだ。これまでに本アワードでマッチングされた企業とデザイナーが、提案を実現化した事例も多い。2012年度テーマ賞に輝いた太洋塗料株式会社の「マスキングカラー」をはじめ、販売商品は国内市場だけでなく海外でも好評を博している。中小企業の技術とデザインをつなげる画期的なコンペティションとして、デザイナーは決して見逃せない企画と言える。

■応募締切:
2016年11月4日(金)必着

■応募資格:
(1)都内中小企業と協働して提案を実現化する意欲があること
(2)国内に居住し、デザインに関わる個人もしくはグループ(連名応募も可)
(3)提案二次審査を通過した場合、提案最終審査(公開プレゼンテーション審査)に参加できること
(4)受賞後、テーマ選定企業からの発注を受けて業務遂行が可能であること

※上記の条件を全て満たすことが必要
※作品はオリジナルで、受付締切日において未発表のものに限られる

■応募費用:
無料(ただし提案の制作に伴う実費などは応募者が負担)

■審査基準:
提案の「実現性」「市場可能性」「デザイン性」「ビジネスプランの完成度」

■賞:
最優秀賞 1点(賞金100万円)
優秀賞 2点(賞金20万円)
テーマ賞 各テーマにつき1点ずつ

※審査の結果「該当なし」となる場合もあり
※テーマ賞受賞提案については、製品開発や知財対策、デザイン契約締結などに関するアドバイスなどが行われ、当該テーマ選定企業における受賞提案の事業化および商品化が支援される

■問い合わせ先:
東京ビジネスデザインアワード事務局(公益財団法人日本デザイン振興会内)
tel. 03-6743-3777
url. http://www.tokyo-design.ne.jp
2016-08-17
2016-11-04
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