いま話題のマストドン、その特徴から使い方まで(前篇)

2017年4月21日
TEXT:編集部

新しいSNS「Mastodon(マストドン)」が、先週頃から大きな注目を集めている。ポストTwitterと俄かに騒がれ始めて1週間。新しいもの好きで、飽きやすくもあるネットユーザーは、どのようにマストドンを活用しているのだろうか。いまネットの世界を駆け巡っている話題のサービス「Mastodon」について、基本操作や注意点などを編集部でまとめてみた。


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▷クラウドファンディングから生まれたマストドン

現在、本家のインスタンスは634人のパトロンから月額3069ドルを受け取って運営されている

まずはマストドンについて簡単におさらい。マストドンは、ドイツの若者 Eugen Rochko(オイゲン・ロッコ 24)がTwitterをベースに開発した新しいSNSである。クリエイターやアーティストを支援するクラウドファンディングサイト「Patreon」で、毎月の資金援助を受ける形でスタートしたのが始まりだ。

その使い方は、Twitterをベースにしているだけあって、とてもよく似ており、時系列に沿った公開タイムラインに、好きな画像を選びながら自由につぶやいたり、気に入ったアカウントをフォローしたりできるようになっている。ただし、つぶやける文字数はTwitterの140文字に対して、マストドンは約3.57倍の500文字まで利用が可能。より多くの情報を発信できる仕様にする一方で、広告や行動追跡がなくプライバシーにも配慮されているのが特徴だ。その他にも、投稿時に「Public」(公開)、「Unlisted」(非公開)、「Private」(フォロアーのみ閲覧)、「Direct」(ダイレクトメッセージ)を選べるようになっていて、投稿毎に公開範囲が設定できるところも気が利いている。

▷マストドン、最大の特徴とツイッターとの違い

マストドンの最大の特徴は、なんと言っても誰でも自由に使えるオープンソースと分散型によるシステムを採用しているところだろう。そのため、ユーザー個人でサーバー(インスタンス)を立てられるので、ユーザー同士の会話などの情報が一つの会社に独占されることがなく、自分のMastodonインスタンスを作れば、シームレスにソーシャルネットワークに参加できる部分も、ツイッターと大きく異なる点である。

2016年10月にサービスを開始して、2017年3月頭の時点では最も多いインスタンスで2万2000人ほどだったユーザーは、現在最大インスタンスで約7万人、全体で約36万人を数え、インスタンス数も日本で最初期のサーバーが設置された4月13日時点で全世界500ほどだったのが、本稿執筆時には1000を超えている。

なお、Eugen Rochko氏によって立てられた、本家インスタンス「mastodon.social」は、世界3位となる5万人以上のユーザー数を誇るが、登録希望者が過多なため、現在は新規登録できない状態だ。

こちらは全インスタンスの一覧(instances.mastodon.xyz


▷見た目はツイッターそのもの、そしてTwitterライクなUI


続いて、ここからはマストドンのUIについて言及しよう。Rochko氏がクラウドファンディングPatreonでの投稿でも認めているように、Twitterの公式クライアント・アプリケーションTweetdeckからインスピレーションを受けてデザインしている。

基本的には、4つのカラムで構成され、PCでのWebブラウザ版を例に取ると、左端カラムにはユーザー設定などのアイコンや検索窓、投稿窓が設置されていて「ホーム」的な役割を果たしている。

Webブラウザで見たインターフェイス

そして、自身のトゥートやフォロワーのトゥートが表示される「ホームタイムライン」、自分が所属しているインスタンスの全ユーザーのトゥート(公開設定されているもの)が表示される「ローカルタイムライン」、所属インスタンスがつながっている(連合している)別のインスタンスのトゥートが流れる「連合タイムライン」との順となっている。

これらは、スマートフォンでの表示になると、上部タブで切り替えられるスタイルだ。「連合タイムライン」については、連合インスタンスの全トゥートが流れるわけではなく、ローカルインスタンスのユーザーがフォローしている別のインスタンスのユーザーのトゥートやブーストトゥートが表示される。

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[マストドンの基本用語]

マストドンのマスコット

・マストドン(Mastodon)
Eugen Rochko氏はアメリカのプログレッシブバンドMastodonのファンであり、そこから中新世から更新世にかけて全世界に生息していたゾウやマンモスと似た大型哺乳類Mastodonに興味を持ち、新しいSNSのサービス名としてマストドンを選んだ。

・トゥート(Toot)
投稿のことは吠えるという意味のトゥートと呼ばれる。マンモスの声ならば吠えるという響きは適当であるし、Twitterのツイートと上手く語感も合わせている。一方、Twitterの140文字という文字制限に対し、マストドンは1投稿で500文字まで入力できるという点で大きく異なる。

・ブースト(Boost)
Twitterのリツイートはブーストと呼ばれていて、Twitter同様拡散力の強い機能となっている。マストドンを利用する上で覚えておきたいワードは上記のトゥートとブーストの2つが基本となっている。ほかの用語、返信(Reply)、お気に入り(Favorite)、フォロー(Follow)、タイムライン(Timeline)などは同じなので、Twitterを使っているユーザーならば、ほぼ違和感なく始めることができるだろう。
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