老舗の技!Microsoftのスマホアプリまとめ

Amebaクリエイティブディレクターが選ぶ!
今月のオススメアプリ5選(2017年6月版)

2017年7月5日
執筆:佐藤 洋介(株式会社サイバーエージェント)
■今月は「老舗のMicrosoft系アプリ」にフォーカス!皆様こんにちは。先日、タクシーから降りた際にスマホを落とし、人生で初めて画面を割ってしまいました。割れたことに気づいた瞬間、「あー、あの人も割れてたな。。」と走馬灯のように人の顔が頭に浮かび、人間は体験の共有を無意識に求める生き物なんだなと再認識した佐藤です。さてこの連載では、Ameba内でも話題になった気になるオススメアプリを、UIデザインの観点からご紹介させていただきます。今月は、前回のAdobe編に続き、Microsoftからリリースされているスマホ向けのアプリを、UIデザインにフォーカスして考察してみたいと思います。

▷【献身的で気になるあいつ!?】絶妙な距離感がリピート利用を促す

1.Cortana
価格:無料(2017年7月5日現在)
エラーでもつい許せちゃう度:★★★★
暮らしの様々なシーンを手助けしてくれるMicrosoftのパーソナルアシスタント「Cortana」。ユーザーのライフスタイルや興味に応じて最適なサポートをしてくれるこのアプリだが、使用していてなんとも心地よいのはアシスタントの「生命感」にある。音声入力や操作に反応するアシスタントが常に画面の左上で動いていて、必要な時には小気味の良いアニメーションとともに近くに寄ってくる。マウスオーバーやタップ時など、物理的な入力に対するフィードバックが重要であるように、音声入力や処理中のフィードバックも重要な要素だ。まるで生き物のような演出がユーザーとの距離感を縮め、リピート利用を促すために有効なのかもしれない。

▷iPhone: Cortana
▷Android: Cortana – Digital assistant

▷【毎日を新しくスタート】ユーザーを縛らない適度なサポート

2.Microsoft To-Do
価格:無料(2017年7月5日現在)
ポンポン追加しちゃう度:★★★★★
毎日の「すべきこと」をシンプルに管理できるToDoアプリ「Microsoft To-Do」。余白のあるゆとりのレイアウトと大きな角の丸みで、使っていて安心感をもたらすUIとなっているが、ToDoの入力も非常にシンプルに設計されている。ユーザーは最下部の+ボタンからタスクを追加することができるほか、右上に用意されたインテリジェント機能を使うと、過去に入力されたタスクから、アプリが次のタスクを推測し提案してくれるのである。

「毎日のタスク管理」という観点で言えば、他のアプリでいう「繰り返し予定」機能が思い浮かぶが、「毎日を新しくスタートする」というこのアプリのコンセプトからすれば、自動で繰り返し予定を組むというよりも、日々のちょっとした差を毎日カスタムできる「若干の余白」こそが重要なのかもしれない。

▷Windows: Microsoft To-Do
▷iPhone: Microsoft To-Do
▷Android: Microsoft To-Do

▷【秘書並みの有能さ!】一瞬で補正を完了させる脅威のサポート力

3.Office Lens 
価格:無料(2017年7月5日現在)
なんでも撮ってみたくなる度:★★★★★
ホワイトボードや書類など、撮った写真を自動でトリミング&斜め写真を補正してくれるカメラアプリ「Office Lens」。必要な箇所をトリミングしてササッとデータ化できるのが魅力的なこのアプリだが、アプリを立ち上げてから画像を補正しデータ保存するところまでを、わずか2タップで終わらせてしまうあたりに驚く。

大抵この手のアプリはフォーカスする部分を選択し、補正の度合いを調整するなどの微調整が必要になるが、このアプリではそれらを調整する必要がないくらい精度の高いデータが2タップで作成される。もちろん、詳細なトリミング機能も付いているが、会議などでの利用シーンを想像すると手早く取れるに越したことはない。このような「複雑な機能」を「シンプルに見せる工夫」がユーザーにとっての「手軽さ」に影響するのかもしれない。

▷Windows: Office Lens
▷iPhone: Office Lens
▷Android: Office Lens

▷【ある意味シンプル?】複雑さとの共存

4.Microsoft PowerPoint
価格:無料(2017年7月5日現在)
老舗の安定感:★★★★★
言わずと知れたOfficeの定番ソフトがアプリになった「Microsoft PowerPoint」。プレゼンテーションツールの王道とも言えるこのアプリだが、様々なテンプレートが用意されており、簡単に特徴的なプレゼンテーションを作成することができる。資料の作成時に大まかなテンプレートを選んでから作業を進めていくのだが、複雑な機能をうまくUIに落としこみ、「しかるべきところ」にメニューが押し込まれているのが印象的で、階層の概念もしっかりしているためユーザーが迷子にならない工夫がされている。

▷Windows: PowerPoint Mobile
▷iPhone: Microsoft PowerPoint
▷Android: Microsoft PowerPoint

▷【カメラの中にプロが!?】きめ細かいフォローでベストショットを逃さない 

5.Microsoft Pix カメラ
価格:無料(2017年7月5日現在)
おまけ動画が楽しみになる度:★★★★★
シャッターを切るだけで瞬間的に補正し、ベストショットを提供してくれるカメラアプリ「Microsoft Pix カメラ」。補正をかけてくれるだけでなくデフォルトでバースト撮影してくれるので、一瞬のシャッターチャンスを逃すことなく写真に納められる。また「面白い動きを感知」すると短時間のループ動画を自動生成してくれるなど、ユーザーが意図していない部分までフォローし、「少し変わった思い出」として思いがけないアウトプットを手にすることができる。このように、ユーザーが意図していない副産物を撮影時のおまけとしてライトに提示することは、「お得なユーザー体験」としてポジティブに受け入れられるのではないだろうか。

▷iPhone: Microsoft Pix カメラ

▷老舗が考え抜くのはシンプルなユーザー体験

今回紹介したアプリはどれも、複雑な機能を簡単に見せるために「シンプルさ」を重視しているものが多いように感じた。ユーザーが1から10まで操作するのではなく、コア体験の主導権はユーザーに残しつつ、部分的に自動化するなど、便利な機能をいかにさり気なく見せるかということに重点を置いており、心地よいユーザー体験を与えてくれるアプリばかりである。老舗だからこそ、こうしたベーシックな部分を重視し、シンプルなUIで最高のユーザー体験を届けようという姿勢が伺えた。

[筆者プロフィール]
佐藤 洋介(さとう ようすけ)
クリエイティブ 執行役員 | チーフ・クリエイティブディレクター
「Ameba」のクリエイティブ統括室 室長。インターネットテレビ局「Abema TV」や、音楽配信アプリ「AWA」、キュレーションメディア「Spotlight (スポットライト)」、無料ホームページサービス「Ameba Ownd」など、主にユーザー向けのメディアサービスのデザイナーを統括し、クリエイティブ責任者として各サービスのUIデザインを監修。

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