ボストン美術館の全面協力でトッパン・フォームズが保永堂版「東海道五十三次絵巻」を発売
トッパン・フォームズ株式会社は、ボストン美術館の全面協力のもと、歌川広重の保永堂版「東海道五十三次」を原寸大で再現し、絵巻化した保永堂版「東海道五十三次絵巻」を制作して販売を開始した。ボストン美術館では所蔵品の原寸大複製を原則として許可していないが、今回はデジタル印刷技術を活用した絵巻化という同美術館にとっても初めての試みであるため、例外的に複製が承諾され、製品化が実現している。
今回の製品では、ボストン美術館に所蔵される500点以上の「東海道五十三次」の作品の中から53の宿場に江戸と京都を加えた全55カ所のシリーズ作品を複製。同美術館の浮世絵版画室長であるセーラ・E・トンプソン氏が1点ずつ厳選した原画を複製している。その大半を占めるスポルディング・コレクションは、浮世絵原画の色彩が非常に繊細かつ脆弱で褪色しやすいため、ボストン美術館はもとよりいかなる場所でも原画を含めて公開展示が禁止されているものだ。
今回、最新鋭のデジタル印刷技術と手作業による巻子表装の伝統的な職人技との融合で、完成度が高い原画の原寸大再現が実現。数十mにもわたる絵巻が長尺プリントで1枚の用紙に同時に出力された。用紙には和紙（鳥の子紙）を使用し、耐光性のあるトナーを用いることで従来のインキでは再現が不可能だった絵巻特有の質感と色彩効果を実現。褪色なしの半恒久的保存が可能となっている。上巻が長さ1250×幅33cm、下巻が長さ1150×幅33cmの仕様で、セット価格は36万円（税抜）。セーラ・E・トンプソン氏による作品解説（英語原文付き）と和英分キャプションも添えられており、貴重な学術資料や文献としても活用できる。