インプレスR&D、プリントオンデマンドの新たな可能性を発掘する「POD個人出版アワード」受賞10作品を発表

インプレスR&Dは、3月20日、昨年7月から実施していた「POD個人出版アワード」の受賞作品を発表。応募総数292点の中から選ばれた、最優秀賞を含む計10点(9作品)の内訳を明らかにした。
「POD個人出版アワード」は、POD(プリントオンデマンド)という新しい出版方式を活かしたオリジナリティ豊かな書籍企画を表彰するコンテストだ。同社が提供する出版販売支援サービス「著者向けPOD出版サービス」より出版した全書籍を対象となり、プロ・アマを問わず参加が可能。出版の内容や、企画アイデア、革新性、デザインクオリティなどが選考基準となった。

山本義徳氏

本日の授賞式で、最優秀賞を獲得したのは山本義徳氏が著した『アスリートのための最新栄養学(上・下巻)』。既に電子書籍として発売されていたものだが、POD版の予約受付が開始されると、和書ランキングで最高28位を獲得。上下巻合わせて4000冊を売り上げるなど、実績面でも大きな成果をあげ、最優秀賞に輝いた。

優秀賞に選ばれたのは宮澤大三郎氏の『(太平洋戦争)戦前・戦中・戦後 体験記』、広江克彦氏の『趣味で量子力学2』の2作品。前者は、94歳になる著者が自身の体験をまとめた自分史で、このような書籍が在庫切れが発生しない状態で、半永久的に提供される意義が再評価された。

後者は、書籍に「2」の文字が付いていることからもわかるように、既刊本の続編に当たる書籍である。一定の需要がありながらも、出版機会の得られない専門書を、PODが補うという仕組みが顕著となった一例であり、著者自身が専門分野の研究を「趣味」と位置づけわかりやすく紹介していることも評価の対象となった。
審査員特別賞を受賞したのは以下の6書籍である。

『Wacアート作品』 吉田恵美子/松本進 著
『実践!タイムマネジメント研修』 坂本健 著
『最期の選択 人生の終幕を我が家で ~がんで亡くなった10人の在宅医療実話~』 野末睦 著
『月の縦孔・地下空洞とは何か』 春山純一 著
『巨大数論 第2版』 フィッシュ 著
『「かぴのぱんやさん」 かぴさんホッコリ絵本シリーズ』 Toshimi (としみ) 著
同アワードでは、全体的に硬派・高価格な書籍が多い傾向にあったとのことだが、カラーページをふんだんに使った作品集や絵本、好評を得た研修の内容を書籍化したものなど、バラエティー豊かな作品が選ばれ、PODの広い可能性を示唆するものとなった。また、電子出版サービス「KDP(Kindleダイレクト・パブリッシング)」などを利用した電子書籍と併売するケースが応募作品全体の約7割を占めており、出版と流通の”今”を浮き彫りにする結果に。

「かぴのぱんやさん」

一方、規格等に関する課題も残されている。現在、AmazonPODで対応できるのは書籍の長編を閉じた「縦開き」のみだが、審査員賞を受賞した『かぴのぱんやさん』は、短編綴じに適したレイアウトで作成されている。また、最優秀賞を獲得した『アスリートのための最新栄養学(上・下巻)』は、ページ数の都合で上下に分冊化したとのこと。これを機に、AmazonをはじめとするPODサービスのさらなる進化を期待したい。
株式会社インプレスR&D
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2018/03/20
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