「六甲グリーン」「旧居留地セピア」など、神戸の街並みから生まれた67色の万年筆インク「Kobe INK物語」

株式会社ナガサワ文具センターが販売する万年筆インク「Kobe INK物語」が、第10回日本マーケティング大賞(主催:公益社団法人 日本マーケティング協会)の奨励賞を受賞。6月4日に表彰式が開催された。神戸市の企業では初の受賞となる。
「Kobe INK物語」は、街から見た六甲の山なみをモチーフにした「六甲グリーン」や、旧居留地の街並みをモチーフにした「旧居留地セピア」といった、神戸の景色や街並みをテーマにした67色(2018年6月時点・限定色除く)の万年筆インクだ。

この商品の1色目が誕生したのは2007年。iPhoneの誕生とともにデジタル化が加速し、万年筆はもとより文字を書かない人が年々増え続けた、万年筆インクにとってはまさに逆行の時代だ。ナガサワ文具センターが本社を構える神戸では、阪神淡路大震災の打撃からようやく立ち直りつつあった頃である。

Kobe INK物語「六甲グリーン」

そんな中、ようやくビジネスの目途が立ったという同社が、ふと眺めた六甲山の木々の色を切り取って作ったのが1色目の「六甲グリーン」。当時グリーンの万年筆インクはとても珍しいもので、続けて作られた、一番きれいな海をイメージした2色目「波止場ブルー」、一番きれいな日暮れ時の街角をモチーフにした3色目「旧居留地セピア」なども、神戸の万年筆愛好家の間で広まっていった。

その後も1年で約6色ずつコンスタントに作り続けて11年が経ち、現在では67色を展開するに至るが、当時の売り上げは日に1個程度、とても順風満帆と言える状況ではなかった。この商品が注目を浴び始めたのは、2012年に行われた「フェルメール展」とのコラボ限定色が世に出てからである。

全く万年筆に縁がなかった人たちがフェルメールをきっかけにまずインクを手に取り、インクを使ってみたいから万年筆を購入するという、逆転の現象が起きた。今回の受賞でも、万年筆市場の拡大ではなく、インクの市場の拡大を万年筆の市場の拡大につなげる逆転の発想が高く評価されている。
その後、発売当初は月に30個程度しか売れなかった「Kobe INK物語」は、2017年には3万個を売り上げるまでに成長し、日本国内だけでなく米国、豪州、台湾へと出荷されるほどの人気に。使い方も従来の「万年筆」の枠に囚われず、カラフルなインクを使って絵を描いたり、学校の先生がピンクやオレンジのインクを使って採点をしたり、コレクションやカラーセラピーに使ったりと、様々な層から支持を受けるようになった。

発売から10年で開発されたインクは、限定色を含め80色以上。2018年5月26日には、ナガサワ文具センターのコーポレートカラーを、クラシカルモダンをテーマに高貴なプレミアムブルーで表現した「DENプレミアムブルー(PenStyle DENショップ限定)」も発売されている。一つ一つにストーリーを持つ、神戸の街を色で表した万年筆インク、手に取れば“特別な価値”がきっと見つかるはずである。
株式会社ナガサワ文具センター
URL:http://kobe-nagasawa.co.jp/category/originalitems/kobeink/
2018/06/05
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