傷んだ古いフィルムから“再構成”した作品を紹介する平川祐樹氏の展示「映画の見る夢」

Grains of Film - Silver Nitrate / 2017 / ビデオインスタレーション / 4K / 11分11秒ループ / サイレント

2018年9月30日(日)から12月2日(日)まで、ポーラ美術館の現代美術展示スペース「アトリウム ギャラリー」にて、「平川祐樹―映画の見る夢」展が開催されている。開館時間は9:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)。ポーラ美術振興財団が助成してきた若手芸術家たちを紹介する「HIRAKU Project」の第6回目の企画で、映像作家の平川祐樹氏が2017年に制作したシリーズ作品「Nitrate Dreams」を日本で初めて展示している。
1983年名古屋市生まれの平川氏は、これまで映像を主軸として、場所や物質に宿った時間を即物的に呈示する作品を制作してきた。それらの作品は、メディア考古学的な視点を通したもの。近年は特に、映画やフィルムなどの題材を扱いながら、“記憶”や“記録”、“生”と“死”といった普遍的な美術のテーマを強く感じさせる作品を制作している。
「Nitrate Dreams」シリーズの制作は、同氏がアンティーク・マーケットで一片の映画フィルムを見つけたことからスタート。フィルム片がひどく傷んでただれ、画像が今にも溶け出してしまいそうな状態から、それらの画像を丁寧に水中で剥がし取って銀の粒子を抽出して、新たな“作品”へと再構成した。そのプロセスは、かつての映画産業が一般的に行ってきた“映画フィルムのリサイクルと銀の再鋳造”を連想させ、錬金術の“蒸留”や“還元”も想起させる。
■期間:
2018年9月30日(日)~12月2日(日)

■開催場所:
ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285

■問い合わせ先:
公益財団法人ポーラ美術振興財団
tel. 0460-84-2111
url. http://www.polamuseum.or.jp/
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