PIXTAで「イラスト」素材の需要が急増。売れるクリエーターになる秘訣とは?

画像・動画の素材サイト「PIXTA」において、今、イラスト素材の需要が急激に高まっているという。ロイヤリティーフリーのストックフォトサービスは、PIXTA、Adobe Stock(Fotolia)、Shutterstock、123RFをはじめ多くの企業が参入し、写真家の新しいワークスタイルとしても認知されてきたが、イラストの販売数が伸び始めたのはここ数年のこと。SNS広告やLPへの需要に加えて、動画広告の素材として使われる事例なども登場し、わずかな期間に売り上げを数倍に伸ばすイラストクリエーターが出始めている。
ピクスタ株式会社では、このような流れを受けてイラストレーター向けの講習会を定期的に実施。10月27日に開催されたイラストセミナー「フリーランスの新しいワークスタイル ~ストックイラスト制作実践編~(講師:マツ氏)」でも、初心者からプロクリエーターまで多くの受講者を集め、中には遠方から訪れるなど高い意欲を見せるクリエーターも見られた。ここでは、そこで公開された情報の一部をご紹介したい。

● 求められるイラストとは
「売れるイラスト」の傾向としては、2015年頃まではコッテリした書き込みのイラストが人気であったが、2018年はどちらかというとシンプルなイラストが主流となっているという。水彩調やフラットデザインのアイコンなど、Webデザインのトレンドともリンクしているようだ。

イラストやマンガをテーマとしたSNS「pixiv」が絶大な人気を誇っているが、ストックイラストに求められる素材はこれとは全く異なる。素材サイトからのイラスト購入者のほとんどは企業やライターといった職業人だ。そのイラストがいくら美麗であろうとも、使いたい媒体のテーマに沿っていなければ購入することはない。

つまり、イラストレーターは使われるシチュエーションを想像し、それに合った素材を制作・ストックしていく必要があるのである。そして、この「シチュエーションを考える」ことがイラストの量産化にもつながることになる。

● ストックイラスト初心者がぶつかる「100枚の壁」
当然ながら、登録枚数と売り上げ金額は比例する傾向がある。まとまった売り上げをあげるクリエーターには、数千枚という膨大なストックイラストを登録している人が多い。そんなクリエーターたちの間で通説となっているのが「100枚の壁」というもの。クリエーター登録をしてから100枚のイラストを描いてアップするまでが一つの試練だというのだ。

現在、PIXTAに登録されているイラストクリエーターは約7万人程だが、そのほとんどがこの「100枚の壁」に到達することなく辞めてしまっている。

セミナー講師のマツ氏によると、売れるイラストを量産するには「企画」「描写」「構成」が不可欠だという。例えば、一匹の犬のイラストを描いたとき、どのような利用シーンが考えられるだろうか。「ペット用品店」「動物病院の広告」「騒音問題」「アレルギー」「情操教育やセラピー」「家族」、そして今年の正月であれば「年賀状」にも使われたかもしれない。一匹の犬のイラストから企画を考え、詳しくシーンを描写し、複数の素材へと展開する“構成”を考えていくことで、質の向上と量産化が同時に図れるのである。

白紙の状態から100枚のイラストを発想するのは容易ではないが、このように考えていけば「自分の100枚」もなんとなくイメージできてはこないだろうか。既に公開済みのイラストを転用することをためらうクリエーターも多いが、利用者の視点で考えれば、人物の表情、手の動きなど、小さな違いで用途は全く異なるものだ。過去に書いたイラストやパーツの転用などは、製作者の利便性を上げるだけでなく、購入者にとっても便利な素材へとつながるはずである。

● さらに一歩上のクリエーターになるには
「PIXTA」でもトップクリエーターと言われる人々は、新しいタッチを模索したり、競合のいないニッチなテーマを狙ったりと工夫を怠らない。PIXTAでは売り上げランキング(https://pixta.jp/channel/?p=31841#illust)なども公表しているので、参考にしてみてほしい。

これはクリエーターたちの肌感覚だが「肌に印影がないイラスト」も人気が出やすいそうだ。季節商材としてはこれからの時期にピッタリの「年賀状」が外せない。シーズンの2~3ヶ月前から準備をするのだという。

マツ氏に関して言えば、CLIP STUDIOの3Dデッサン人形やシームレス(つなぎ目のないパターン)作成機能の活用。利用者のことを考えて、印刷用途に使いやすいサイズにしておいたり、Illustratorのライブトレース機能を使って手書きの素材をベクター化しておくなど、きめ細かい対応も心がけているという。

ストックイラストへの挑戦は楽な仕事ではないが、描いたイラストが実際に“売れる”という経験は何物にも代えがたい。副業を探している人も、これからイラストレーターを目指す人も一度チャレンジしてみてはどうだろうか。
ピクスタ株式会社
URL:https://pixta.jp/
2018/10/30
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