「iPhone 3Gはケータイ版ビッグバンのきっかけとなるか?」



「iPhone 3Gはケータイ版ビッグバンのきっかけとなるか?」
2008年7月31日

TEXT:小川 浩
(株式会社モディファイ CEO 兼クリエイティブディレクター)

2008年7月11日についに日本上陸を果たしたiPhoneは、年内に国内売上げ台数50~100万台と言われている。

国内でアクティベートされている(実際に使われている回線とし ての)携帯電話はだいたい1億台、それが平均して2年で新しい端末に入れ替わっているが、携帯電話端末の国内市場は既に飽和しており、台数としてはこれ以上増えようがないところまできている。

そこに、iPhoneを始めとする海外製品の国内流入に拍車がかかれば、当然シェアできるパイはますます小さくなり、多くの日本メーカーは縮小を余儀なくされ、携帯電話端末の製造自体からの撤退を迫られるメーカーも、今後多く出てくるはずだ。そもそも、日本にはパナソニックモバイル、シャープ、東芝、ソニーエリクソン、富士通、日立、NECなど、実に多くのメーカーが乱立していて、一国にそれだけの数のメーカー数がいること自体が世界的には異常だ。

iPhoneの販売台数自体は市場のシェアを考えればまだまだ矮小だが、iPhoneに影響を受けたさまざまなクローン(たとえばGoogleが推進する共通プラットフォームであるアンドロイド対応の携帯電話)が生まれつつあることは見逃せない現実だといえる。実際、世界最大の携帯電話端末メーカーであるノキア自身が「世の中に優れたものがあれば、われわれは誇りを持ってコピーする」とし て、iPhoneに酷似した製品のリリースを行うと同時に、日本市場への進出を本格化させている。

金融ビッグバンとは、日本で1996年から2001年度にかけて行われた大規模な金融制度改革を指す経済用語だ。日本固有の金融システムが世界標準に歩調を合わせた結果、いったい何が起きたのかを記憶されている方は、筆者が何を言いたいか分かるだろう。つまり、積極的に世界標準に自らをフィットしない企業やサービスは、すぐに淘汰されていく、ということである。ケータイもまた同様で、iPhoneがもたらす新しい世界標準に対して備えない限り、まず端末メーカーから淘汰されしまうはずだ。

つまり、iPhoneはまさしくケータイ版ビッグバンのきっかけとなる、と筆者は言いたいのである。




[筆者プロフィール]
おがわ・ひろし●株式会社モディファイ CEO兼クリエイティブディレクター。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。



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