「アプリに注目しなければiPhoneの真の姿は理解できない」(1)



「アプリに注目しなければiPhoneの真の姿は理解できない(1)」
2008年9月25日

TEXT:大谷和利
(テクノロジーライター、原宿AssistOnアドバイザー)


まだという人は、知り合いのiPhoneユーザーに頼んで、
アプリの優れた動きや機能をぜひ体験してほしい

一部のiPhone情報サイトを除き、巷のiPhone報道は、新種の携帯電話や電子ガジェットとしての紹介、あるいはiPhoneを取り巻くビジネスモデルといった切り口に終始している。そして、アップル社の新規事業であるApp Storeの展開にも触れはするが、そこに実際にどのようなアプリがあり、それらがiPhoneのユーザー/潜在ユーザーにどんな効果をもたらすかといった部分に踏み込んで論じたものは、ほとんどない。

これはある意味当たり前の話で、iPhone用アプリは、iPhone(一部の機能を除けばiPod touch)上でしか動きを確認できないため、記事執筆用に少しだけ実機に触れただけのライターや記者では、既存のケータイとの表面的な比較に終始する。いきおい、カメラ性能やおサイフケータイ機能の有無など、ハード仕様の分析が主になり、ソフトマシンとしてのiPhoneの真の姿は見えてこない。

また、iPhone用のアプリは、日々登録数が増えており、実際に購入して毎日利用するユーザーにしか、その価値や利点・欠点を含む本当の魅力がわからない。その意味で、世間のiPhone報道は、かなり一面的なものと感じられる(おそらく、それは、先ごろ実機が発表されたAndroid端末にもあてはまりそうだ)。

もちろん、筆者にしてもiPhoneアプリのすべてを網羅できるわけではないが、今回は、自分の目を通して、iPhoneのコミュニティに与える影響や製品自体の可能性に意味が感じられるものをいくつか紹介したいと思う。

iPhoneユーザーならばすでに使っているアプリも多いかもしれないが、逆にユーザー以外には存在すら知られていないのがiPhoneアプリの世界であり、これを垣間見てもらうだけでも意義のあることだと思う。そして、できれば知り合いのiPhoneユーザーに頼んで、実機上でその動きや機能を確認してもらいたいと考えている。

たとえば、iPhoneのソフトキーボードによる文字入力が、一般のテンキー入力に劣ると思っている人は、今も多いだろう。しかし、数回のシステムアップデートを経て、慣れたユーザーの手にかかれば、文字入力のスピードはここまで向上している(→YouTube参考ムービー)。こうした改善点に関するフォローアップの報道も、積極的に行われるべきだ。

ちなみに、筆者の回りではこんなエピソードもあった。iPhone自体を見せても、あまり反応を示さなかった若い女性が、その上で動くCHANELの純正アプリを起動したとたん、美しい最新ファッションの写真や、ファッションショーの動画に魅せられて、iPhoneが欲しくなったと言ったのである。

iPhoneは、既存の携帯電話と同列に製品だけを見ていては、その可能性の全貌を感じ取ることはできない。アプリによって機能や魅力が変化し、それが届く潜在ユーザーの層も多種多様に広がっていくこと。それを知らなければ、iPhoneの真の姿は論じられないのだ。

次ページでは、特徴的なiPhoneアプリをいくつか紹介してみよう。



次ページ「特徴的なアプリ15本を紹介する」に続く >>>





MdN DIのトップぺージ