国立科学博物館『特別展ミイラ~「永遠の命」を求めて』【美術館・博物館/冬の展覧会情報 2019・2020】

ペンジュの棺 エジプト 紀元前800年頃 第3中間期、第22王朝~第23王朝 レーマー・ペリツェウス博物館所蔵 ROEMER- UND PELIZAEUS-MUSEUM HILDESHEIM

祖霊像 パプアニューギニア 1800年-2000年頃 個人蔵

祖霊像 パプアニューギニア 1800年-2000年頃 個人蔵

2019年12月から2020年2月にかけて、ぜひ鑑賞しておきたい美術館・博物館の展覧会を編集部がピックアップ。今回は国立科学博物館で開催中の『特別展ミイラ~「永遠の命」を求めて』をご紹介します。見どころやグッズ情報もチェック!

●文:中村美枝(JAM SESSION)
はるか昔に亡くなった人の姿をそのまま残す、人類の神秘ともいえるミイラ。そんなミイラをテーマにした『特別展ミイラ~「永遠の命」を求めて』が、国立科学博物館にて開催されている。2019年12月には開幕からおよそ1カ月で来場者10万人を突破。この冬、最も注目度の高い展覧会のひとつでもある。

最新の科学・研究で明らかになったミイラの実像を紹介する本展では、南米、エジプト、ヨーロッパ、オセアニア、日本のミイラ総数43体を展示。自然のままにミイラになったものもあれば、死者の姿をよりよい状態で残そうと創意工夫を凝らして作りあげたミイラもあり、地域、時代によってその姿はさまざま。動物のミイラや死者を弔うためにペインティングされた頭骨なども公開されている。ミイラの背景にある文化や死生観もわかりやすく解説されていて、ミイラの謎に迫ることができる。
▼『特別展ミイラ~「永遠の命」を求めて』で注目したい作品

《ネコのミイラ》リネン エジプト グレコ・ローマン時代(紀元前2世紀か前1世紀頃) レーマー・ペリツェウス博物館所蔵 ROEMER- UND PELIZAEUS-MUSEUM HILDESHEIM

《彩色が施されたアンナの頭骨》オーストリア、ハルシュタット 1800年-1900年頃 ゲッティンゲン大学人類学コレクション所蔵 University of Göttingen, Anthropological Collection

《肖像頭蓋骨》 頭蓋骨 パプアニューギニア 1800年-1900年頃 レーマー・ペリツェウス博物館所蔵 ROEMER- UND PELIZAEUS-MUSEUM HILDESHEIM

画像左)ミイラというと人間のイメージが強いが、古代エジプトでは動物のミイラも作られていた。家族と一緒に埋葬することもあれば、神々への捧げものにされることもあったとか。写真は、エジプトで愛の女神・バステトの化身とされていたネコのミイラ。リネンで付け足された口と耳が、その姿を連想させる

画像中央)土葬してから年月が経った故人の遺骨を納骨堂に納める風習が古くから根付くヨーロッパ。納骨の際には、頭骨に絵を施すこともあるという。この展示は若くして亡くなった女性の頭骨。現代アートを思わせる色鮮やかに描かれた花々は、お墓に供える花を表しているとか

画像右)故人の頭骨に粘土や樹脂などで肉付けし、生前の顔つきを再現した、パプアニューギニアの《肖像頭蓋骨》。顔には本人の入れ墨や、祭りのときのペイントが施され、同じ模様はないという。湿度、温度が高く、ミイラの保存に適さないとされる地域だからこそ、こんな弔いの形が生まれたのだろう
▼展覧会オリジナル&コラボグッズも要チェック

展覧会オリジナルグッズ レイメバンバポーチ 各1,650円(税込) 右:ノーマルファルド、左:子ども

PARCO×特別展ミイラコラボグッズ おしゅしだよTシャツ 全3柄 3,190円 (税込) ©YETI VACATIONS©PARCO CO.,LTD

画像左)貴重なミイラのコレクションで知られるペルーの「レイメバンバ博物館」の所蔵品で、本展にも出品されている《チャチャポヤのミイラ包み6体》がモチーフ。ファスナーが大きく開いて出し入れしやすく、生地はやさしい肌触り。愛らしい表情にも和める

画像右)会場内の特設ショップでは、PARCOとコラボしたグッズも販売中。手がけたのは、おしゅしだよ、STOF、IKUMI、ANREALAGEの人気クリエイターたち。Tシャツ、トートバッグ、サコッシュ、缶バッジなど、ミイラやガイコツをポップに楽しくデザインしたアイテムがそろう
DATA
特別展ミイラ~「永遠の命」を求めて
会期:~2020年2月24日(月・休)
開催時間:9:00~17:00(金、土は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)
休館日:月(月が祝日の場合は火)、12月28日(土)~1月1日(水・祝)
場所:国立科学博物館
問い合わせ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)
入場料:一般・大学生1,700円、小・中・高校生600円
https://www.tbs.co.jp/miira2019/
限定グッズやイベントなどにも注目!この冬行きたい、美術館・博物館
開幕からおよそ1カ月で来場者10万人を突破した『特別展ミイラ~「永遠の命」を求めて』をはじめ、ハンガリー近代美術の作品も楽しめる「ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」、鉄道ファン必見の「特別展 天空ノ鉄道物語」など、編集部&ライターが注目する東京&東京近辺の展覧会情報をお届け。各展覧会ページでは、見どころはもちろん、オリジナルグッズやカフェメニュー、イベント情報なども紹介しています。https://www.mdn.co.jp/di/special/4713/69861/
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